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精神科治療ガイドライン講習、精神科医の理解度向上に効果-東京女子医大ら

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2019年08月28日 PM12:15

治療ガイドラインへの理解度向上で、より適切な治療が普及

(NCNP)は8月23日、2016年から開始した「EGUIDEプロジェクト」において、精神科医向けのガイドライン講習による顕著な理解度の向上が認められことを明らかにした。この研究は、NCNP精神保健研究所精神疾患病態研究部の橋本亮太部長、杏林大学医学部精神神経科学の渡邊衡一郎教授、東京女子医科大学医学部精神医学講座の稲田健准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に掲載されている。


画像はリリースより

精神科医療は、薬物療法と心理社会的療法がその両輪であるが、その実践については、臨床家ごとのばらつきが大きいことが問題となっている。例えば、代表的な精神疾患の一つである統合失調症においては、抗精神病薬の単剤治療が海外の各種ガイドラインで推奨されているものの、日本では諸外国と比較して突出して抗精神病薬の多剤投与が多いことが知られている。2011年の日本精神神経学会では、統合失調症における抗精神病薬の多剤併用率が65%程度であり、抗パーキンソン薬、抗不安薬/睡眠薬、気分安定薬の併用率もそれぞれが30~80%と高いことが報告された。

それを受け2014年、向精神薬の多剤処方に対する診療報酬の減額が決定。2015年9月の日本神経精神薬理学会で「統合失調症薬物治療ガイドライン」が発表された。このガイドラインは、精神科領域において日本初のMinds法に則ったエビデンスに基づいたものであり、統合失調症において抗精神病薬の単剤治療を行うことを明確に推奨している。また、日本うつ病学会においてもうつ病と双極性障害の治療ガイドラインが発表されている。しかし、これらの治療ガイドラインは十分に普及したとはいえない状況にあるため、研究チームは精神科領域のガイドラインの普及・教育・検証そして改訂を、当事者・家族・支援者と共に行う研究「EGUIDEプロジェクト」を2016年から開始した。

、うつ病に関するガイドライン講習を実施

EGUIDEプロジェクトは、現在43大学と130以上の医療機関が参加する国内外に例がない精神科治療ガイドラインの教育・普及・検証プロジェクトに発展。同プロジェクトは、統合失調症薬物治療ガイドラインと、うつ病治療ガイドラインの講習を全国で計68回行い、延べ1,500人以上が参加した。この講習の効果検証のために、ガイドラインの理解度、実践度、処方行動によって評価を行った。その結果、どちらのガイドライン講習においても、講習前と比較して講習後に顕著な理解度の向上が認められた。

「忙しい医師がたった1日の講習を受講することによりガイドラインの理解度が著明に向上する意義は大きいと考えられる。次の段階として、ガイドラインに沿った治療の実践度や向精神薬の処方行動の調査などがすでにスタートしている。ガイドラインの普及が進むことは、若手の精神科医に対してより適切な治療教育が行われること、また、SDM(Shared Decision Making: 共同意思決定)が広く行われるようになることにもつながる」と、研究グループは述べている。

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