医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 【日病薬関ブロ大会】調剤業務、ロボットと協働時代に-対人業務の充実可能と試算も

【日病薬関ブロ大会】調剤業務、ロボットと協働時代に-対人業務の充実可能と試算も

読了時間:約 1分46秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年08月28日 AM10:15

日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会が24~25の両日、甲府市内で開かれた。「ロボットと人工知能()が変える調剤業務」をテーマとしたシンポジウムでは、薬局でのロボット導入が調剤業務に従事する薬剤師を対人業務に充てられる効果をもたらすなどの試算が発表された。一方、演者からは「薬剤師が楽をするための機械化ではなく、専門性を発揮するための手段と考えるべき」とクギを刺す意見も出た。

シンポジウムの演者

渡部正之氏(メディカルユアーズ代表取締役)は、3月に「大阪梅田メディカルセンター」内に開設した薬局の機能を紹介した。ロボットが医薬品を取り出し、無人状態でも調剤済みの医薬品を患者が受け取れるほか、同センター内の内科や整形外科などの医療機関と患者情報を共有できるシステムを構築。処方箋が発行された時点で処方箋情報が入力され、患者が来局するまでに処方監査と調剤準備を行うことができる。

渡部氏は、この「ロボット薬局」により、調剤業務に従事している薬剤師2人を在宅関連業務に充てることが可能になるとの試算を示した。

その上で「テクノロジーは人間から仕事を奪うのではなく、より人間らしい仕事を与えてくれる」と述べ、ロボットによる調剤業務を評価。ロボット薬局が▽薬剤師の職能を高度化し、新しい雇用を創出▽調剤ミスをなくして医療事故から患者を守る▽待ち時間を解消して検診の受診率を高めることで早期発見を促す▽医師の過重労働を防ぐ――などの効果ももたらすとメリットを訴えた。

松尾健介氏(慶應義塾大学病院薬剤部調剤室副主任)は、ロボットとAIによる病院の調剤業務への影響について報告した。

同院は、来年から病棟薬剤業務実施加算の算定を目標とする一方、外来調剤業務が1日平均1550枚、入院調剤業務が平均650枚と多忙で、人員増に費用がかかること、調剤スペースの限界や誤薬率の減少が頭打ちといった現状を踏まえ、ロボット等の導入を決定した。

導入予定の全自動PTPシート排出装置の効果を試算したところ、SPDスタッフ2~5人分の業務をカバーし、夜勤のサポートも可能とした。

また、医療情報を外来患者のスマートフォンに送信するアプリを7月から導入し、お薬情報の電子化と薬の準備が完了した際に呼び出すシステムの運用を開始したことにも言及した。

松尾氏は「今後の調剤業務はマンパワーだけでなく、調剤ロボットとの協働が必要となる」と述べる一方、「薬剤師が楽をするための機械化ではなく、専門性を発揮するための手段と考えるべき」とした。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果