提言では、近年、第二世代抗ヒスタミン薬のスイッチOTC薬が相次いで上市され、市販薬市場で広く流通していることや、診療ガイドラインで花粉症の初期療法や軽症例には、第二世代抗ヒスタミン薬など、通常1分類の薬剤で治療を開始することとなっている点を指摘。
花粉症治療薬の薬剤費のうち、OTC類似薬のみ処方された場合の薬剤費は約1割で、このうち1分類処方の割合が約9割を占めているなどの現状を示した上で、OTC類似の花粉症治療薬について、保険適用からの除外を1分類に限った場合でも年間37億円の薬剤費削減が見込めるとの試算を示した。
また、処方薬の場合、薬剤費に加えて医療機関に支払う初診料や薬局への調剤料などもかかるが、患者負担で比較すると、薬代だけの市販薬と大きな差はないとする分析結果も示した。
これらを踏まえ、医療の必要性に応じて保険償還率を段階的に設定している海外の制度などを参考に、OTC類似薬全般について保険適用からの除外や自己負担率の引き上げを進めるべきと提言した。
花粉症を主病とする患者に対して、1処方につきOTC類似薬を1分類のみ投薬する場合は、スイッチOTC医薬品を使って自ら治療する患者との整合性を図る観点から、原則保険適用から除外すべきとした。
ただ、医師の判断でやむを得ず処方薬を投薬する場合には、その理由を処方箋、診療報酬明細書に記載することで保険適用可能とする考えも示した。
生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリー)の導入に向けた検討も提言した。フォーミュラリー推進の具体策として、診療報酬制度に生活習慣病治療薬のフォーミュラリーを盛り込むべきとし、中長期的には有効性、安全性を前提としつつ経済性にも優れた処方を推進するため、関係学会などに薬剤費用を加味した診療ガイドラインの作成を促すなどの環境整備を進めていくことを求めた。
症状が安定した患者などを対象とした、繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の普及に向けた取り組みも促した。40歳以上で通算180日以上の長期にわたって処方内容の変更がない同一処方患者の再診料と処方箋料のうち、リフィル処方を導入(90日に1回受診すると仮定)することで、年間約362億円の医療費適正化効果が見込まれると試算。
病状が安定し、繰り返し同じ処方を医師から受けることが見込まれる患者について、かかりつけ薬剤師に限定したリフィル処方を診療報酬制度の中に導入すべきとした。
調剤報酬のあり方についても言及。対物業務から対人業務へのシフトを進めるため、調剤基本料および薬剤服用歴管理指導料について、地域医療貢献の実績に応じた評価や薬歴の管理・指導が必要な患者の明確化など、現行の算定要件を見直すべきとした。
中長期的には、医薬品医療機器等法改正に呼応し、薬局の機能類型に対応した調剤報酬体系への再編を求めた。