アナリティクスAI「SATLYS」の活用
金沢大学は8月19日、糖尿病性腎症の重症化メカニズムの解明により、精密医療の実現を目指す共同研究を開始したと発表した。この研究は、同大医薬保健研究域医学系の和田隆志教授らの研究グループが、株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社と共に行う。
今回の共同研究では、同大が腎生検で診断した糖尿病性腎症例の臨床・病理情報を用い、同大の医学的知見と東芝デジタルソリューションズのアナリティクスAI「SATLYS(TM)」(サトリス)の活用により、糖尿病性腎症の重症化メカニズムの解明を目指して研究開発を行う。
画像はリリースより
糖尿病性腎症、層別化・体系化された最適な予防法の開発に期待
東芝グループは、「超早期発見」「個別化治療」を特徴とした精密医療を中核として、医療事業への本格的な再参入を表明している。アナリティクスAI「SATLYS」により、糖尿病性腎症患者を複数のパターンに分け、層別化・体系化された最適な予防法の開発が期待されるという。これにより、疾患の早期治療・進展予防、病状の悪化を防ぐ可能性を見いだすことで、患者のQOL向上を目指していくとしている。
日本は、台湾に次ぐ世界第2位の人工透析大国。透析患者数は国民の約380人に1人、約33万人とされている。中でも、糖尿病性腎症に起因する透析患者数が最も多く、全体の4割以上を占める。人工透析が必要になると、透析治療によりQOLが低下するだけでなく、1人当たり年間約500万円の医療費負担が発生し、国全体では年間約1.6兆円の公的医療費が必要となる。これらの理由から、糖尿病性腎症の重症化予防は、健康寿命を延ばすだけではなく、医療保険財政を健全化する点からも求められている。
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