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全国レセプトデータにおける糖尿病診療の質指標を測定-NCGMら

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2019年08月20日 PM12:15

糖尿病患者がガイドライン推奨検査を年1回以上受けている割合を測定

国立国際医療研究センターは7月30日、レセプト情報・特定健診等情報データベース()を用いて、2015年度に糖尿病薬の定期処方受けている外来患者が、ガイドラインで推奨されている検査を年1回以上受けている割合を測定したと発表した。この研究は、同センター研究所 糖尿病情報センターの杉山雄大医療政策研究室長、東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・生活習慣病予防講座の門脇孝特任教授などで構成される研究グループによるもの。この研究は、国際糖尿病連合が発行する「Diabetes Research and Clinical Practice」の電子版に掲載されている。

国民・健康栄養調査によると、全国で糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人。糖尿病の症状悪化は、失明や透析、足切断といった重篤な合併症を引き起こす場合があり、糖尿病は透析導入原因の第1位、視力障害原因の第3位と報告されている。そのため、糖尿病診療では血糖、血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だ。これまで、一部の保険者や施設における適切な検査の実施割合は報告されてきたが、全国における状況を調べた研究はなかった。

血糖コントロール指標測定は良好、網膜症・尿検査の実施割合は低く

研究グループは、2015年度に糖尿病薬の定期処方を受けている外来患者が、糖尿病治療ガイド(日本糖尿病学会 編・著)などで推奨されている糖尿病関連の検査を受けている割合を糖尿病診療の質指標として測定。また、都道府県別、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別の指標も計算し、さらに施設単位の指標のばらつきを観察した。

研究の結果、約415万人の当該患者において、血糖コントロール指標(HbA1cまたはグリコアルブミン)を測定したのは96.7%、網膜症検査を受けたのは46.5%(都道府県別範囲:37.5%−51.0%、認定なし44.8% 対 認定あり59.8%)だった。診療報酬から尿検査の施行を観測できる200床未満の病院と診療所で診療を受けた患者のうち、尿定性検査を受けたのは67.3%(都道府県別範囲:54.1%−81.9%、認定有無別:66.8%対92.8%)、尿アルブミンまたはタンパクの定量検査を受けたのは19.4%(都道府県別範囲:10.8%−31.6%、認定有無別:18.7%対54.8%)だった。施設別指標の分布を見ると、網膜症検査、尿検査の実施割合のばらつきが特に大きく、尿定量検査は認定無しのほとんどの施設で行われていないと同時に、認定教育施設でも実施割合の低い施設が少なからずあることが判明した。


画像はリリースより

なお、同研究には200床以上の施設における尿検査の実施割合などが反映されておらず、解釈の際には注意が必要だ。一方で、今回の結果を受けて、医療従事者が着実な検査実施に注意を払うことで、今後の糖尿病診療の質が向上することが望まれる。「今回の結果は、都道府県の医療計画等の立案に役立てられ、エビデンスに基づいた政策立案が推進されることを期待する」と、研究グループは述べている。

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