厚生労働省は7日、MSDがB型肝炎ワクチン「ヘプタバックス」を10月以降供給できなくなる見込みを示している問題について、安定供給を確保するため卸売販売業者と医療機関に協力要請する方針を、7日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発および生産・流通部会に示し、了承された。卸売販売業者には、取引実績がない医療機関や新設の医療機関から発注があった場合も不利に扱わないよう配慮することを求めるほか、医療機関には必要量に見合う量のワクチン購入などを求める考えである。
国内のB型肝炎ワクチンは、MSDとKMバイオロジクスの2社が、年間350~640万回接種分を市場に供給しているが、MSDにおいて原薬製造の上流工程で断続的に規格を満たせない事例が発生。
これを受け、同社は製造を止めて抜本的な改善に取り組むことになったため、厚労省に「10月以降に国内供給ができなくなり、供給再開は早くとも20年半ば」との見通しを報告している。
MSDの報告を受け、厚労省がKMバイオロジクスにワクチン増産を依頼したことから、供給停止後も同社が継続的に増産分のワクチンを供給できるとしている。ただ、来年9月前後に製造ラインのメンテナンスなどで一時的に同社の供給量が減る可能性があるため、MSDに同年7月までに供給再開できるか確認する必要があるとしている。
こうした状況を踏まえ、厚労省は部会で、MSDがワクチン供給を再開するまで安定供給を維持するための対応案を提示。卸売販売業者には、前年に他社と取引し、自社と取引実績がない医療機関や新設の医療機関から発注があった場合、不利にならないよう配慮することを要望する。
医療機関には、必要量に見合う量のワクチンを購入することや0.5mLバイアル製剤で0.25mLを注射する場合、一度針を刺したものは24時間以内に使用することを遵守し、可能な限り2回使用するよう努めることを求める。また、3回の接種を同一製剤で行うことが望ましいとする一方、KMバイオロジクス、MSD両社のワクチンを組み合わせて接種した場合の互換性が既に確認済みであることを医療機関に情報提供することとした。