2013~2015年にかけて集めた試料(DNA、血漿、血清、尿)と情報(調査票、検査、特定健診)
東北メディカル・メガバンク計画は8月8日、地域住民コホートのベースライン調査のうち、2013~2015年にかけて主に特定健康診査会場にて調査協力した人たちの試料(DNA、血漿、血清、尿)・調査票情報・検体(血液・尿)検査情報・特定健康診査情報の分譲を開始すると発表した。
画像はリリースより
「東北メディカル・メガバンク計画」は、東日本大震災からの復興と、個別化予防・医療の実現を目指すもので、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)を実施機関として、東日本大震災被災地の医療の創造的復興および被災者の健康増進に役立てるために、平成25年より合計15万人規模の地域住民コホート調査および三世代コホート調査等を実施し、試料・情報を収集したバイオバンクを整備している。同計画は、日本医療研究開発機構(AMED)が研究支援担当機関の役割を果たしている。
日本最大規模のデータセット、次世代医療の実現に向け
今回の分譲により、被災の程度など、参加者の特性・生活習慣・検査情報の分析を可能にするという。新たに分譲対象とするのは約6万7000人分のデータで、喫煙・飲酒・身体活動等の基本情報に加え、こころの健康、睡眠、被災の影響、特定健康診査項目、血液・尿のデータが含まれている。多様かつ精度の高い分析が可能となることから、被災地における健康課題の抽出と対応策の検討、そして一人ひとりの体質に合わせた予防法の検討に活用されることが期待されている。新規に分譲される項目として、食事に関する頻度情報があるが、この情報により、食事摂取頻度と検査データの関連を調べることが可能になる。
この約6万7000人分の大規模なデータは、所定の手続きの後、統合データベース「dbTMM」を通してさまざまな条件で検索してデータを閲覧することが可能。また、分譲申請を経たうえで、分譲された試料や情報を用いた解析研究を行うことができる。分譲する試料・情報は個人の特定ができないよう匿名化されている。なお、調査で得られた試料・情報は、匿名化したうえで他研究機関に分譲可能なよう、インフォームド・コンセントを取得している。研究グループは、「約6万7000人分もの幅広い情報を多くの研究者が利用できるようになり、個別化予防等、次世代医療の実現の加速が期待される」と、述べている。
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