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心臓マッサージによる蘇生効果を高める方法を開発-中部大

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2019年08月08日 PM12:15

心臓マッサージの力の一部が、テーブルのたわみに使われ、効果が減少していると推察

中部大学は8月5日、血管からカテーテルを挿入して病気を治療するインターベンション中に心肺が停止した際、心臓マッサージによる蘇生の効果を高める技術を開発したと発表した。この研究は、同大生命健康科学部 生命医科学科の伊藤守弘教授と、三重大学医学部附属病院 中央放射線部 副診療放射線技師長の山田剛氏(研究時は中部大学大学院 生命健康科学研究科 生命医科学専攻 博士後期課程に在籍)らの研究グループによるもの。研究成果は、心臓インターベンション専門誌「Journal of Interventional Cardiology」に掲載されている。


画像はリリースより

メスで体を開く外科手術に代え、心臓や脳、肝臓などの血管から直径1、2mm程の細い管状のカテーテルを挿入する治療法「インターベーション」は、近年目覚ましい進歩を遂げ、国内では年間約20万人の虚血性心疾患患者が、同治療を受けている。しかし治療中には、致死性不整脈や心肺停止が少なからず起こる。このような場合、致死性不整脈では速やかに電気刺激や薬剤で正常な状態に戻す除細動、心肺停止では胸部を圧迫する心臓マッサージを行う必要がある。マッサージ中もカテーテルによる治療を中断することはできず、両方を同時に行う必要がある。

インターベンション中は、患者内部の血管構造を詳細に映し出すため、カテーテルテーブルはCアーム型X線装置に組み込んだ仕組みになっている。そのため、テーブルはカンチレバー構造で片側しか固定されておらず、心臓マッサージ中は上下にたわむ。研究グループはこの点について、心臓マッサージの時に手で押さえる力の一部がテーブルのたわみに使われ、肝心のマッサージに十分に使われていないのではないかと考えた。同問題解決のため、テーブルの固定されていない側をX線装置の定位置からわずかにずらし、下に安定化棒を装着して固定することで上下にたわまないようにする方法を考案した。

テーブルを安定化棒で固定することで、心臓マッサージの質が大幅に向上

研究グループは、安定化棒の有無によって、実際に押す力のどの程度がマッサージに寄与しているのかを検証するため、胸骨圧迫のトレーニングを十分に受けた救急救命士を目指す12人の学生に、マネキンを使う心肺蘇生(CPR)トレーニング装置による胸部圧迫を行ってもらい、その質をスコア評価。さらに、ハイビジョンのカムコーダーでテーブルの上下動を動画撮影した。

その結果、安定化棒を装着しない場合のトレーニング装置に表示されるスコアは平均47.7%で、心臓マッサージの質は不良であると示された。この時のテーブルのたわみは平均6.6mmで、圧迫の深さは平均40.8mmだった。一方、安定化棒を装着するとスコアは平均79.6%まで顕著に高まり、胸部圧迫の質はほぼ良好と示された。テーブルのたわみは0mmで、圧迫の深さは平均47.3mmまで増えた。また、たわみの減少分と圧迫深さの増加分も、ほぼ一致したという。

今回の研究成果により、テーブルのたわみがCPRの質を低下させ、安定化棒で固定することで、質が高まることが明らかになった。研究グループは、「患者が心臓カテーテル検査・治療中に心肺停止した場合に、安定化棒でカテーテルテーブルのたわみを抑える方法を提案する」と、述べている。

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