脳卒中既往患者対象「RESPECT Study試験」を実施
東京女子医科大学は8月2日、脳卒中既往患者における血圧管理は130/80mmHgが適切であることを証明したと発表した。この研究は、新小山市民病院の島田和幸院長(研究開始当時は自治医科大学循環器内科教授)、東京女子医科大学脳神経内科学の北川一夫教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Neurology」にオンライン掲載された。
血圧管理は脳卒中再発予防で重要なことだが、どこまで血圧を下げるべきかについては、確固たるエビデンスがない。従来140/90mmHg未満を目標に降圧管理が行われてきたが、より厳格な血圧管理が脳卒中再発予防に有効かどうか不明であった。
研究グループは、全国140施設が参加するRESPECT Study試験を実施した。同試験は、国内の脳卒中既往患者を対象に、通常血圧管理群(140/90mmHg未満)と厳格血圧管理群(120/80mmHg未満)に割り付け、脳卒中再発予防への厳格血圧管理の有効性、安全性を検証する臨床大規模試験。最終的に1,263例が解析対象となり、平均3.9年の追跡期間で91件の再発脳卒中が観察された。
過去試験とのメタ解析結果、厳格血圧管理22%有意に脳卒中再発を抑制
試験の結果、登録1年後の両群の血圧は通常管理群132.0/77.5mmHg、厳格管理群123.7/72.8mmHgであり有意な群間差を認めたという。脳卒中再発率は、通常管理群が年間2.26%、厳格管理群が1.65%となり、厳格管理群で低下傾向を示した(HR 0.73;95%CI 0.49-1.11、p=0.145)。脳出血発症率は、通常管理群0.46%、厳格管理群0.04%となった。さらに、研究結果について、脳卒中既往患者対象に厳格血圧管理と通常血圧管理を比較したSPS3研究を含む3つのRCT研究とメタ解析した結果、厳格な血圧管理は通常血圧管理に比し、22%有意に脳卒中再発予防を抑制することが明らかになったという。
画像はリリースより
RESPECT Study試験単独では厳格血圧管理の優位性が示されなかったが、過去の同様な研究とメタ解析することにより、初めて130/80mmHg未満に血圧管理することが脳卒中再発予防に有効であることが示された。今回の研究成果で得られたエビデンスから、今後脳卒中再発予防の血圧管理は130/80mmHg未満を目標とすることが広く周知されるものと期待される、と研究グループは述べている。
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・東京女子医科大学 プレスリリース