厚生労働省は25日、2020年度の日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業実施方針案を厚生科学審議会科学技術部会に示し、了承された。新たに中分子医薬品、細胞治療薬の有効性を検証できる評価技術の開発や、中分子医薬品の実用化を促すため5~10万検体の化合物を登録する「中分子ライブラリー」の整備などに着手する。人工知能(AI)にデータを統合処理させ、低分子・中分子創薬で化合物構造を自動的に発生させる創薬AIの開発も行う。
実施方針のうち、創薬基盤推進研究事業では、新たに核酸や特殊ペプチドを含めた中分子医薬品や細胞治療薬について、有効性を検証できる新たな評価技術の開発、医薬品レベルでの製造・品質管理に関する基盤技術の実用化を目指す研究を支援する。
創薬支援推進事業では、中分子医薬品の実用化を促すため、産官学協働で中分子ライブラリーを新たに整備する。ライブラリーに化合物を3年間で5~10万検体登録することにより、創薬シーズの実用化につなげる。
さらに、産学の保有する化合物の構造・物性データや標的に対する様々なデータを集約し、AIにデータを統合処理させることで、低分子・中分子創薬において化合物構造を自動的に発生・最適化する創薬AIを開発することとした。
ゲノム創薬基盤推進研究事業では、既に取り組んでいる研究内容のうち、ゲノム検査で得られるデータとその他の客観的な臨床データを解析することで得られる新たな知見を活用し、効果的で安全な薬剤投与を実現する基盤技術に関する研究などに注力する。
臨床研究・治験推進研究事業では、アカデミアの疾患登録システムを利活用した臨床研究等を引き続き支援するとした。