田宮氏は、今国会で継続審議となった医薬品医療機器等法改正に言及し、昨年末の取りまとめで「現在の医薬分業は政策誘導した結果の形式的な分業」「単純に薬剤の調整など対物中心の業務を行うことで成り立っており、多くの薬剤師が患者から職種の意義を理解されていないという危機感がない」など厳しい指摘があったことを紹介した。
その上で、医薬分業について「薬局薬剤師が地域住民から信頼されて進んできたのであれば全く問題ないが、残念ながら経済的な要因で進んできた面が否めない。自己負担が院内処方より高くなることに対して、コストに見合うだけのサービスが提供ができているのか、あるいは医療の質が向上するデータやエビデンスがあるのかということが重要になってくる」と強調。「国民からすると、そうした実感が湧く経験がまだまだ少ないと言わざるを得ない」とし、これらエビデンスの構築が必要とした。
田宮氏は、「(エビデンスの構築が)今後の議論においては必須であり、薬科大学などと連携する中で、薬剤師会がやらないのであれば、自分の薬局でデータを作るくらいのつもりでやってもらいたい」と訴えた。
薬剤師・薬局の将来については、「医療の担い手としての高い倫理観と使命感を持って患者に接していくことが重要。目の前の患者を何とか健康にしてあげたいと患者に寄り添い、薬物療法の結果について自分が責任を持つというマインドでやってもらいたい」と注文を付けた。
さらに、25年までに全国で1万~1万5000軒という目標を設定している健康サポート薬局の届出の現状についても、田宮氏は「目標数から一桁違う。しっかりと目指してほしい」と強調。「健康サポート薬局は、かかりつけ薬剤師指導料の算定に加え、健康サポート機能を持って地域で貢献する薬局が目指す一つのモデル。自ら健康づくりを提供できなくても、地域の社会資源を把握した上で適切なところを紹介するつなぎの役割も重要」とした。