厚生労働省は、18年度診療報酬改定において地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を新たに「地域支援体制加算」で評価し、医療資源が少ない地域の薬局を評価対象としたことを説明。また、全国約150の町村で薬局が設置されておらず、薬局薬剤師数に地域差がある実態などを示した。
染谷絹代委員(静岡県島田市長)は、多くの患者が診療所の門前薬局を使用している地方の実態を挙げ、「かかりつけ薬剤師制度を推進しているが、現実には難しいのが現状」と指摘。また、山間部の居住患者は医療機関までの交通手段が限られ、苦労しているとの現状を紹介し、「地域医療構想の理念に沿った診療報酬の見直しをお願いしたい」と注文をつけた。
これに対して、有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「患者と薬剤師できちんと対話が行われれば、薬剤変更で体調が悪くなったなどの情報を薬剤師はしっかりと把握しているので、地域住民の目線でかかりつけ薬剤師を選んでもらいたい」とかかりつけ機能の重要性を強調した。
無薬局町村に関しては、間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が「在宅医療を考えると、地域の薬剤師にかかりつけ薬剤師として活躍してもらうことは患者にとって頼りになる。無薬局町村を減らす取り組みを検討すべき」との考えを述べた。
有澤氏は「薬剤師が常駐できる薬局を置きたいが、行政の支援が必要だ。少しずつ無薬局を解消しているが、この問題に興味がない自治体もある」と課題を指摘。「地域住民がどのような状況にあるか都道府県で把握し、薬剤師会で協力できるところは協力したい」と対応を約束した。
一方、松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「大病院が地域に患者を戻すことに一層取り組むことが前提」としつつ、「まずは薬局の数と偏在を是正すべき。病院薬剤師の不足も深刻で、国家資格取得後に医療機関での研修・勤務を義務づけるなど、臨床医並みの薬剤師教育の深化が必要」と訴えた。