政府は、後発品の使用割合80%を来年9月までに達成することを目指し、様々な施策を展開。業界関係者を含め、数量ベースの使用割合をいかに高めるかを意識して取り組んできたが、80%達成を目前に控え、“ポスト80%”を見据えた新たな目標を設定する必要に迫られている。
こうした中、小山氏はレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用し、後発品の数量や金額の推移を解析した結果を提示。「近年、数量ベースでは長期収載品の数量は大きく減少し、後発品の数量は大きく増加しているものの、金額ベースで見ると増減幅は緩やかで、一錠単価も横ばいで推移している」と指摘した。
シェアを金額ベースで評価すると、長期収載品と後発品を分母にした場合の後発品シェアは40.1%だが、先発品を含めた全医療用医薬品を分母にした場合の後発品シェアは15.6%になっており、「後発品のシェアは小さい」とした。
その上で小山氏は、ポスト80%の数値目標の考え方について、「80%達成後は新指標のみでは評価ができない。数値のみを追うのは本末転倒。目的は医療費の削減なので、多面的に細かく見る必要がある」と強調。「医療費抑制を評価するには、旧指標や金額ベースでの評価も考慮に入れ、これらの指標を上手に見分けながら、実際に後発品の使用がどのように進んでいるのかを考えることが求められる」との考えを示した。
また、フォーミュラリー推進に向けた目標やバイオシミラー推進の目標を個別に設定することも提案。地域や薬効によって後発品の使用割合にばらつきがあるため、「地域別や薬効群別の目標設定も求められる」とし、「金額ベースで考えると、市場規模が大きい東京都と大阪府での使用促進の取り組みを進める必要がある」と訴えた。
日本ジェネリック製薬協会政策委員会実務委員長の田中俊幸氏も「今後5年間の先発品の特許切れを踏まえ、後発品に置き換わるスピードを考えてみても80%には到達しない可能性がある。また、一部の医療用医薬品を保険から外すという議論があるが、そうすると割合はすぐに変動してしまう」と指摘。「数量シェアだけで評価するのには限界がある。全ての医療用医薬品を分母にして評価するなど、多面的に見る必要がある」と語った。