厚労省の報告では、流通改善ガイドラインなどを踏まえ、今年4月時点で割戻しの確認と仕切価への反映の検討に着手している製薬企業は97社中94社(96.9%)で、未着手の3社も5月までに着手するとしていた。
仕切価を修正するような割戻しを縮小し、相当分を仕切価に反映するなどを理由に、4月に割戻しの運用基準を変更した企業は17社で、17年の5社から増加。また、4月に仕切価を変更した企業は11社で、同様に17年の2社から増加した。
そのうち、販売促進的な割戻しを廃止し、相当分を仕切価に反映するなどの理由で変更した企業は7社150品目、後発品や競合品の上市などで医薬品の価値に変動があったことを踏まえて変更した企業は4社26品目だった。
一方、18年度の妥結率は16年度より2%減の95.8%で、厚労省は「ほぼ同様の水準」との認識を示した。18年度の単品単価取引の割合は、200床以上の病院で前年度より22.9%増の79.1%、調剤薬局チェーン(20店舗以上)で34.9%増の97.2%と、大幅な上昇が見られた。
これらの報告について、三村優美子座長(青山学院大学経営学部教授)が「努力していると思うし、かなり改善されている」と述べるなど、委員からは改善を評価する声が相次いだ。
ただ、中原岳志委員(日本医薬品卸売業連合会卸・薬価問題検討委員会委員長)は、10月の消費税引上げに伴う薬価改定について「年複数回契約になることから、今年上期の価格交渉は極めて煩雑になり、部分妥結の増加が考えられる。駆け込み需要の発生も考えられ、流通改善が後退することを危惧する」と懸念を示した。
長瀬輝諠委員(日本精神科病院協会副会長)も「増税を懸念している」と厚労省に対応策を迫った。これに対して、医政局経済課の三浦明課長は「14年の消費税増税の際に起きたことを検証し、混乱を繰り返さないことが大事だ。慎重かつ適切に対応したい」と応じた。