フォーミュラリーに厳密な定義はないものの、一般的に「医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」として用いられている。薬剤が精選されるため、漫然投与や薬剤の成分重複、併用禁忌・注意が回避できるほか、薬剤費用の節減、在庫減につながり、経営改善に寄与するなどのメリットがある。
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、フォーミュラリーを進めることの意義に理解を示しつつも、「医療には個別性がある」と指摘。使用する薬剤が絞られるなどして個別性が失われることに懸念を示した。
これに対して、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、生活習慣病の対象薬剤だけで数千億円単位で薬剤の適正化につながること、DPC病院では効率化にもつながるなどのメリットを挙げ、「まずは医療機関がフォーミュラリーを推進し、薬剤師や保険者がチェックするという体制を作っていくことが必要」と主張。地域フォーミュラリーについては、「保険者も参加することで、地域フォーミュラリーを全国展開するような仕組みを進めていくべき」とした。
ただ、フォーミュラリーの評価については、「診療報酬で誘導していくというのは違う」と反対する考えを明確にした。診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)も診療報酬上の評価に慎重な姿勢を示した。
一方、ポリファーマシー対策については、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)が「患者さんの状態を総合的に判断することが大事。その上で、減らせる薬を減らすということを行うべき」と主張。また、医薬品の数が増えれば、相互作用や副作用のリスクが高まることについて、保険者などが積極的に普及啓発を行うべき」と提案した。
今村聡委員(日本医師会副会長)は「ポリファーマシーは数の問題ではない」と強調。「医薬品の種類・量が増えれば有害性が高まるというわけではない」との考えを示した上で、ポリファーマシー対策に積極的な病院では、病棟薬剤師が中心となって減薬に取り組んでいることを紹介した。
有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「複数の診療科を受診して医薬品が増えることが問題だ」とし、かかりつけ薬剤師・薬局などで一元管理されることの重要性を指摘。「保険者側にも有効な活用方法として、周知していただきたい」と要望した。
こうした意見に対し、支払側の幸野委員は、長期処方への対応を充実させるため、16年度改定で導入された医師の指示に基づく分割調剤を促進すべきと主張した。ただ、健保連の調査によると、分割調剤の算定は導入前より減少していたことから、「患者の認知度も低く、薬局や患者にとっても仕組みが煩雑。もっと分かりやすく、活用しやすい新たな制度を検討してもらいたい」と要望した。