ファースト・イン・クラスの抗SIRPαモノクローナル抗体
ベーリンガーインゲルハイム社は6月26日、進行性固形がんの患者を対象に開発中のファースト・イン・クラスの抗SIRPαモノクローナル抗体である「BI 765063(旧称:OSE-172)」を世界で初めてヒトに投与する第1相臨床試験において、最初の患者へ投与したことを発表した。今回の臨床試験は、ベーリンガーインゲルハイムが同剤の独占的権利を取得した提携・ライセンス契約の一環として、OSE Immunotherapeutics SA(OSE社)によって実施されるものである。
BI 765063は、骨髄系細胞を標的とする抗SIRPαモノクローナル抗体の免疫チェックポイント阻害薬。SIRPαリガンドCD47がSIRPαに結合するのを阻害することによって、マクロファージや樹状細胞などの骨髄系細胞の抗腫瘍活性を低下させる細胞のシグナル伝達を阻害する。2019年3月、OSE社は、進行性固形がん患者において同剤を評価する第1相試験の臨床試験実施許可を2か国の保健当局(フランスとベルギー)から取得していた。
ベーリンガーからOSEへ、マイルストーン1500万ユーロを支払う
同試験は、骨髄系細胞を標的とする免疫チェックポイント阻害薬である同剤を単剤で、またベーリンガーインゲルハイムのT細胞免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1モノクローナル抗体「BI 754091」との併用で投与する用量設定試験。進行性固形がんの患者を対象に、免疫療法の安全性、薬物動態、薬力学および予備的有効性を特性化することを目的としている。
今回の提携・ライセンス契約の条件に基づき、2019年3月に臨床試験実施許可を取得し、第1相試験において最初の患者への投与が行われたことを受け、合計1500万ユーロがマイルストーンとして、ベーリンガーインゲルハイムからOSE社に支払われる。