新規セフェム系薬セフトロザンに、β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタムを配合
MSD株式会社は6月25日、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ザバクサ(R)配合点滴静注用」(一般名:タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩)を発売したと発表した。同剤は、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍を適応症として、2019年1月8日に製造販売承認を取得している。
画像はリリースより
ザバクサは、新規セフェム系薬であるセフトロザン1.0gにβ-ラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタム0.5gを配合した注射用抗菌薬。レンサ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌に抗菌活性を有する広域抗菌薬である。
複雑性尿路感染症・腹腔内感染症の新たな治療選択肢に
膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症は、基礎疾患がない「単純性」と、前立腺肥大や尿路結石などの基礎疾患がある、もしくはカテーテルに起因する「複雑性」に分類される。一方、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆のう炎、肝膿瘍などの腹腔内感染症は、手術や事故などの侵襲、あるいは他の感染部位からの波及などによって起こる感染症。尿路感染症や腹腔内感染症は、血流感染を起こしやすく、重症化することがあるため、中等症から重症患者においては、早期の適切な抗菌薬治療が重要となる。複雑性尿路感染症と腹腔内感染症においては、ESBL産生菌や緑膿菌による感染の難治化が問題となっている。
ザバクサは、国内第3相試験において、尿路感染症に対する細菌学的効果は75.8%、腹腔内感染症に対する臨床効果は87.0%と、両疾患に対して高い有効性を示した。主な副作用としては、ALT(GPT)増加15例(7.0%)、AST(GOT)増加15例(7.0%)、下痢9例(4.2%)、悪心3例(1.4%)、γ-GTP増加3例(1.4%)。
同社は、「ザバクサは、複雑性尿路感染症および腹腔内感染症に対する初期治療および標的治療の新たな選択肢のひとつとして期待される」と、述べている。
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