BTK阻害剤「アカラブルチニブ」P3試験の中間解析結果
英アストラゼネカ社は6月17日、アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)の年次総会において、第3相ASCEND試験における中間解析結果の詳細を示し、アカラブルチニブ(製品名Calquence)が、再発又は難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者の無増悪生存期間を有意に延長したことを発表した。
画像はリリースより
アカラブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害剤であり、BTKに共有結合することでその阻害作用を発揮する。BTKシグナルはB細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られている。2017年10月に米国食品医薬品局(FDA)より、1次以上の前治療歴のある成人マントル細胞リンパ腫(MCL)患者の治療薬として迅速承認を取得。同適応症の今後の承認は、確認試験による臨床的ベネフィットの検証および説明が条件となる可能性がある。
12か月時点で無増悪を維持した患者の割合が88%
ASCEND試験は、再発又は難治性CLL患者を対象に、アカラブルチニブ単剤療法に対し医師の選択した治療(IdR:イデラリシブとリツキシマブの併用療法、またはBR:ベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法)を比較した試験。
試験では、16.1か月の追跡期間(中央値)において、アカラブルチニブはIdRまたはBRに対して、統計学的有意かつ臨床的意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示し、病勢進行もしくは死亡のリスクを69%低減した(ハザード比0.31; 95%信頼性区間, 0.20-0.49, p<0.0001)。無増悪期間の中央値は、アカラブルチニブ単剤群では未達である一方、対照群では16.5か月だった。12か月の時点で、アカラブルチニブ単剤群の88%において病勢進行が見られなかったのに対して、対照群ではその割合は68%だった。アカラブルチニブの安全性および忍容性は、同剤の確立されたプロファイルと一貫していたという。
今回発表したデータにより、致死性疾患である慢性リンパ性白血病に対して、良好な安全性プロファイルを有し、化学療法ではない治療選択肢となり得る選択的BTK阻害剤としてのアカラブルチニブの有効性を支持するエビデンスがより強固なものとなった。同社は、「このデータは、前治療歴のない慢性リンパ性白血病を対象とした第3相ELEVATE-TN試験の良好な最新結果と同じく、今年後半に予定している薬事申請の土台になる」と、述べている。
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