後期第3相DIALIZE試験の結果を発表
アストラゼネカ株式会社は6月24日、血液透析治療を受けている末期腎不全(ESRD)患者に対するLokelma(一般名:ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物、開発コード:ZS)を使用した高カリウム血症治療の有効性および安全性について比較検討した、後期第3相DIALIZE試験の良好な結果を発表した。研究成果は、ハンガリーのブダペストで開催された第56回欧州腎臓学会議/欧州透析移植学会議(ERA-EDTA)のLate-Breaking-Abstractとして発表され、「Journal of the American Society of Nephrology」に掲載された。
高カリウム血症は、循環器、腎および代謝疾患に伴い血清カリウム値が上昇した重篤な病態。慢性腎疾患、心不全、もしくは両疾患の既往がある患者の23~47%に発症すると言われている。これらの疾患治療では血中のカリウムレベルを上昇させ得るレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤の使用がガイドラインで推奨されているが、高カリウム血症の再発予防のために、減量または治療の中止を余儀なくされることがあるという。また、多くのESRD患者が、血液透析治療を行っているにも関わらず高カリウム血症を伴っており、有病率および重症度は透析間隔が長くなると高くなるため、次の透析治療までの日数が長くなる最大透析間隔後に最も高くなる。
Lokelmaは、不溶性かつ非吸収性のジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物で、選択性の高いカリウム排出剤として作用する、経口懸濁用の粉末(経口投与)製剤。高カリウム血症の患者を対象に、3つの二重盲検プラセボ対照試験および1つの12か月非盲検試験を実施中。
次の透析までの血清カリウム値を正常に維持
DIALIZE試験は、血液透析患者を対象とした高カリウム血症治療薬を評価するための初の無作為化多施設共同二重盲検プラセボ対照後期第3相試験。高カリウム血症を有する血液透析患者196人を対象に、同剤の有効性および安全性をプラセボ群と比較検討した。患者は8週間の治療期間において、血液透析を行わない日に1日1回、同剤を投与する群またはプラセボを投与する群に割付された。なお、8週間のうち前半の4週間を用量調整期間(5gから開始、血清カリウム値に応じて1週間隔で最大15gまで5gずつ漸増)、後半の4週間を評価期間として一定用量を継続して投与した。
同試験では、高カリウム血症を有する血液透析患者に対して、最大透析間隔後の透析前血清カリウム値の測定を評価期間中に4回行った。そのうち4~5mmol/Lを3回以上維持し、緊急処置を必要としなかった患者は、同剤投与群で41.2%だった。これに対し、プラセボを投与した患者において同様な結果が得られたのは1.0%であり、同剤は統計的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。また、同試験における同剤の安全性プロファイルも、これまでの高カリウム血症患者を対象とした試験(透析治療中を除く)と一致したという。
今回の試験結果は、ESRDを有する高カリウム血症の患者の血液透析治療期間中、次の透析までの間に同剤が血清カリウム値を正常に維持できることを示している。同剤は高カリウム血症の治療において、重要な役割を果たす可能性があるとして、今後の研究に期待が寄せられる。
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