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ピロリ菌除菌後胃がんの表層に出現する低異型度上皮が、がん由来と判明−広島大

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2019年06月25日 PM12:30

除菌治療で胃がんの表層を覆うELAは正常?がん?

広島大学は6月21日、次世代シークエンサーを用いた、がん遺伝子パネル検査を行うことによって、低異型度上皮(epithelium with low grade atypia:)が、がん由来であることを証明したと発表した。この研究は、同大学院医系科学研究科消化器・代謝内科学の卜部祐司助教・伊藤公訓准教授・田中信治教授を中心とした研究グループによるもの。研究成果は「Journal of gastroenterology」に掲載されている。

胃がんの主な原因は、ヘリコバクターピロリ菌(Hp)の感染であることが確認されている。Hp除菌治療の普及などに伴い胃がん発生は減少している一方で、除菌後に発見される胃がんが問題となっている。

また、除菌後胃がんは、内視鏡での発見が困難であることが特徴とされている。この原因のひとつとして、研究グループは以前に、除菌治療により、ELAが胃がんの表層を覆う現象が起こることを報告している。このELAについては、がんの一部が変化したものなのか、正常粘膜ががん表層を被覆したものなのか議論されていた。

がん遺伝子パネル検査でELAががん由来の組織であると判明

今回研究グループは、がん組織・正常粘膜組織・ELAを切り出し、約100のがん遺伝子を次世代シークエンサーにてディープシークエンシングを行うことにより、ELAががん由来の組織であることを証明した。

この発見は、がん細胞が、ピロリ菌がいなくなることにより正常な上皮の形態に戻ることを示しており、除菌後の胃がんの発見が難しい要因を明らかにしたもの。また、正常に見える上皮の下のがん見落としの減少につながることが期待される。

今回の研究成果により、胃がんが胃内環境の変化によって、後天的に病理学的・肉眼的に形態変化を起こす可能性が示唆された。(QLifePro編集部)

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