■薬物動態と免疫原性を検討
免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(製品名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の薬物動態と抗体産生が誘導される免疫原性の関係について長期に観察した結果、薬剤投与で日本人患者の体内に誘導される「抗薬物抗体」の産生が臨床アウトカムに影響を与える可能性が、福土将秀氏(旭川医科大学病院副薬剤部長)らが実施中の前向き観察研究で分かった。薬剤の曝露量が少ない患者で投与量を最適化することにより、免疫チェックポイント阻害薬の効果を改善できることも示された。まだ予備的なデータではあるものの、薬剤師の臨床研究から免疫チェックポイント阻害薬の遅発性有害事象に関する新たな知見が発信された格好だ。
ニボルマブとペムブロリズマブは、様々な癌の治療に広く用いられ、優れた効果を示すことが報告されており、今後適応拡大による使用の増加が予想されている。ただ、PD-1阻害薬の投与が広がることで高い効果が得られる患者が増える一方、重篤な副作用の発生リスクも懸念されているところだが、日本人患者における薬物曝露量と治療効果、免疫原性など有害事象との関係については十分に解明されていないのが現状である。