心血管アウトカム試験「REWIND試験」の結果を報告
日本イーライリリー株式会社は6月19日、2型糖尿病治療薬「トルリシティ(R)」(一般名:デュラグルチド)の心血管アウトカム試験であるREWIND試験の詳細な結果から、主要心血管イベント(3ポイントMACE:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)の発現率が12%有意に低下したことが示されたと発表した。また、同試験は心血管疾患の既往の有無に関わらず3ポイントMACEの低下を示し、心血管リスクの低下は試験期間を通じて維持されたという。週1回投与の同剤に関する今回のデータは、第79回米国糖尿病学会学術集会のシンポジウムにて発表され、同時に「Lancet」誌で公開されている。
REWIND試験は、2型糖尿病の成人患者を対象とした心血管イベントの発現率について、現地の治療ガイドラインに従い標準治療に追加したグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるデュラグルチド1.5mg週1回投与をプラセボと比較した多施設共同無作為化二重盲検比較試験。主要評価項目はMACEの初発とした。副次評価項目は、主要評価項目を構成する各要素、網膜症または腎症から成る複合臨床微小血管障害、不安定狭心症による入院、心不全による入院または緊急来院、および原因を問わない死亡とした。
血糖コントロールと心血管リスクの長期的な改善に寄与することを示唆
REWIND試験の参加者は24か国(日本は不参加)から9,901名、糖尿病の罹病期間の平均値は10年、ベースラインのHbA1c平均値は7.2%だった。参加者全員が心血管リスク因子を有していたが、心血管疾患の既往がある参加者は31%だった。なお、同試験は国際共同で行われ、女性の割合と心血管疾患既往を有しない人の割合が高く、ベースラインの平均HbA1c値が比較的低い人が登録されたことから、同試験の結果は世界中の一般診療でみられる典型的2型糖尿病患者に直接関連すると示唆された。
同剤は2型糖尿病治療薬としては初めて、心血管リスク因子を有するものの、心血管疾患の既往がない参加者を主体とした試験集団を対象に、3ポイントMACEの有意な減少を示したこととなる。
同社は「今回のデータは、医師と2型糖尿病患者にとって、トルリシティが血糖コントロールと心血管リスクの長期的な改善に役立つ選択肢であることを示唆している」と、述べている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース