体内に埋め込んだ材料の一部が自己組織に置換するという特徴も
大阪医科大学は6月12日、福井経編興業株式会社、帝人株式会社と共同で開発を進めている「心・血管修復パッチ OFT-G1(仮称)」の臨床試験を開始し、治験実施医療機関において開発品を使用した第1例目となる手術が実施されたと発表した。
一般に、組織欠損部の補填や狭窄部の拡大などの修復を要する心臓血管手術には、修復パッチが広く使用されている。同開発品は、強度と伸長性を併せ持ち、体内に埋め込んだ材料の一部が自己組織に置換されるという特徴も有することから、身体の成長に合わせて材料の伸長が必要となる小児への使用に適していると考えられる。また、このような特徴が、再手術のリスク低減につながり、さらには、患者や家族の肉体的・経済的な負担を軽減することが期待されている。
0歳4か月の心室中隔欠損症患者の心臓血管手術に使用し、経過も順調
心・血管修復パッチ OFT-G1は、大阪医科大学の心臓血管手術に関する豊富な知見と、福井経編興業の優れた経編技術、帝人のポリマー解析技術を組み合わせたことにより創出された医療材料で、日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業化推進事業「術後のQOLを改善させる心・血管修復シートの事業化」の支援を受けて開発を進めている。2018年4月には、厚生労働省より「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、世界最先端の治療を早期に提供できるようにさまざまな優遇措置を受けている。
今回、同開発品を使用して実施した第1例目の手術は、0歳4か月の心室中隔欠損症患者の心臓血管手術。患児は順調に回復し、すでに退院しており、今後は外来で経過観察を継続する予定だという。
大阪医科大学、福井経編興業、帝人の3者は、国内における同開発品の1日も早い薬事申請および上市を目指しており、将来的には海外での事業化も検討しているという。3者は、今後もさらに共同開発に注力し、先天性心疾患の患者の治療およびQOL向上に貢献していきたいとしている。
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