東大オンコパネルとコニカミノルタ関連会社の遺伝子診断技術でシナジー効果を
東京大学、国立がん研究センター研究所、コニカミノルタ株式会社は6月6日、がん遺伝子パネル検査「東大オンコパネル(Todai OncoPanel)」の次世代包括的がん遺伝子パネル検査に関して共同研究開発を開始することで合意したと発表。同日、東京大学先端科学技術研究センター教授の油谷浩幸氏、コニカミノルタ株式会社専務執行役でKonica Minolta Precision Medicine, Inc.会長兼CEOの藤井清孝氏らが記者会見を行った。
東大オンコパネルは、DNAパネルにおけるがん原性の体細胞遺伝子変異の対象の多さと、RNAパネルにおける融合遺伝子検出解析等が強みだ。一方コニカミノルタは、米国で遺伝子診断ビジネスにおけるトップクラスの実績を誇るAmbry Genetics社、創薬支援サービスで実績豊富なInvicro社を2017年に買収し、2018年にはコニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン株式会社を本格稼働していた。今回開始が決まった共同研究では、両者の強みを掛け合わせることで、次世代包括的がん遺伝子パネル検査の開発を目指す。
同研究で開発される次世代包括的がん遺伝子パネル検査は、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)が保有・管理するがんゲノム情報のデータベース「がんゲノム情報レポジトリー」の拡充に寄与するものと期待されている。さらに、コニカミノルタを通じて海外への展開・普及が可能となり、世界規模でがんゲノム情報の蓄積を図るという。
DNAパネルとRNAパネルを含む国際競争力の高いパネルで海外展開も
東大オンコパネルは、油谷氏と当時の東京大学大学院医学系研究科教授の間野博行氏(現国立がん研究センター研究所細胞情報学分野長)が中心となって開発が進められてきた。478種類のがん関連遺伝子を対象としたDNAパネルを構築、RNAパネルでは677の融合遺伝子を検出でき、治療選択や診断への寄与が期待されている。特に、融合遺伝子の存在が特徴的な肉腫などでは有用な情報が得られる可能性がある。国際的な競争力の高いパネルであることから、かねてから東大では海外での展開も視野に開発パートナーを探していたという。遺伝子検査技術を有する米国Ambry Genetics社を傘下に持つコニカミノルタとの連携が決まり、積極的な海外展開を進めていきたい考えだ。
一方のコニカミノルタは、今回の共同研究を通じてがんゲノム医療体制の推進に本格的に参画する。同社は共同研究で開発するパネル検査を日本で実施するべく、商用ラボを構築して国内完結型遺伝子解析サービスの提供を目指すという。同社の藤井氏は、パネル検査で得られたデータをC-CATへ提供することで、日本人特有の遺伝子変異の解明や新薬の創出、診断支援システムの開発に貢献したいと意欲を示した。
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・コニカミノルタ株式会社 ニュースリリース