強直性脊椎炎におけるイキセキズマブの試験結果は2018年に報告済み
米イーライリリー・アンド・カンパニーは4月22日、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の治療歴がなく、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nraxSpA)患者を対象とした、イキセキズマブの有効性および安全性を評価する第3相臨床試験であるCOAST-X試験において、主要評価項目およびすべての主な副次評価項目をイキセキズマブが達成したことを発表した。
体軸性脊椎関節炎(axSpA)は、主に仙腸関節と体幹骨格に影響を及ぼす慢性炎症性疾患で、世界全体で450万人の成人が罹患していると推定されている。axSpAには、X線所見により仙腸関節に構造的な損傷が認められる患者集団(強直性脊椎炎、AS)とX線所見により明らかな構造的損傷が認められない患者集団(nr-axSpA)が含まれている。これら2つの患者集団には、類似した疾病負担と臨床的特徴(脊椎炎および慢性の炎症性背部痛など)があると考えられている。
イキセキズマブは、サイトカインであるインターロイキン17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するモノクローナル抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、通常の炎症及び免疫反応に関与する。イキセキズマブは炎症性サイトカイン及びケモカインの活性を抑制するものだ。
COAST-X試験は、ASおよびnr-axSpAを対象に、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)の治療におけるイキセキズマブの有効性および安全性を評価する52週間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。対象者は、スクリーニング時およびベースライン時のBath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index (BASDAI)Numeric Rating Scale(NRS)のスコアが4以上かつ全般背部痛スコアが4以上と定義される疾患活動性を有するnr-axSpAとして確定診断され、さらに仙腸関節炎がMRIで確認されている、もしくはCRPの増加がある、もしくはいずれかの炎症の客観的所見のある患者。
なお、ASにおけるイキセキズマブを評価したCOAST-V試験およびCOAST-W試験の結果は、2018年に報告されている。
主要評価項目達成、症状改善においても有意な改善示す
COAST-X試験において、イキセキズマブは16週目および52週目に主要評価項目を達成し、nr-axSpAの徴候および症状の改善を評価する国際脊椎関節炎評価学会基準40(ASAS40)を達成した患者の割合について、プラセボとの比較で統計学的に有意な改善を示した。また、イキセキズマブは16週目および52週目に主な副次評価項目を達成。これにはプラセボと比較した統計的に有意なAnkylosing Spondylitis Disease Activity Score(ASDAS)スコアの改善、BASDAIスコアの改善、低疾患活動性(ASDAS<2.1)を達成した患者の割合、MRIで測定された(16週目の)仙腸関節炎(SIJ)の有意な改善、および36-Item Short Form Health Survey(SF-36)身体的側面のQOLサマリースコア(PCS)の有意な改善が含まれている。
COAST-X試験で認められたイキセキズマブの安全性プロファイルは、過去に報告されたイキセキズマブの第3相試験の結果と一致するものだった。また、新規の安全性シグナルは検出されなかった。
リリーは今年中に、学会および論文審査のある専門誌での開示のため、COAST-X試験の詳細なデータを提出する予定。これらのデータに基づき同社は、2019年にnr-axSpAの治療薬としてイキセキズマブの承認申請を規制当局に提出する予定だ。リリーのASに対する承認申請は現在、米国食品医薬品局(FDA)で審査中であり、規制上の措置は今年中に行われることが予想されている。なお、イキセキズマブは日本おいて、ASについては承認申請中、nr-axSpAについては第3相試験中である。
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