公正取引委員会は4日、高リン血症治療剤「炭酸ランタンOD錠」の販売に関するカルテルを結んだ疑いで、コーアイセイに対し独占禁止法の規定に基づき、再発防止の排除措置命令と137万円の課徴金納付命令を行った。同じく立ち入り検査を行った日本ケミファについては、違反行為を自主申告するなど調査に協力的であったことや、同製品の発売を取りやめていたため、排除措置命令と課徴金納付命令が免除された。
炭酸ランタンOD錠は、バイエル薬品が製造販売する「ホスレノール」(先発品名)の後発品。昨年2月に日本ケミファとコーアイセイを含む5社が後発品として承認を取得したが、日本ケミファ、コーアイセイの2社の製品だけが同年6月に薬価収載された。1月に公取委が両社に対し、発売する前に医薬品卸に販売する仕切価格を割高に設定した疑いで立ち入り検査を行っていた。
公取委の調査によると、日本ケミファはコーアイセイに対し、自社製品の炭酸ランタンOD錠の全量を製造委託しており、昨年6月に両社が安売りをしない取り決めを行った。同年7月にはコーアイセイに対し、自社で販売する同製品の仕切価を提示し、その価格に合わせるよう依頼。8月上旬までに日本ケミファが提示した仕切価で両社が合意したという。
公取委は、2社が仕切価を高く設定することで自社の利益確保を図ったとし、同製品の販売に関する競争を制限したと判断。独占禁止法第3条で規定されている不当な取引制限の防止に違反する行為に認定した。
コーアイセイに対する排除措置命令では、同製品の仕切価に関する日本ケミファとの合意が消滅していること、同製品の仕切価を自主的に決めること、他の事業者との情報交換を行わないことを取締役会で決議するよう求めた。
さらに、取締役会での決定については、公取委から承認された方法によって、取引先の卸売業者に通知し、自社の従業員に周知徹底することも義務づけた。
コーアイセイは、違反行為の自主申告を行わなかった理由について、「違反行為をしていた認識がなかった」とコメント。その後の社内調査で違反行為を確認し、「今回の措置を真摯に受け止め、命令に従う」とした。