ドラッグストア大手のスギホールディングス(以下スギHD、愛知県大府市)とココカラファイン(横浜市)は1日、経営統合に向けた協議を開始すると発表した。両社の売上高を単純合算すると9000億円に迫る規模となり、統合が実現すれば業界トップに躍り出ることになりそうだ。ココカラファインは、4月26日に公表したマツモトキヨシホールディングス(HD)と資本業務提携を目指した協議も開始しており、3社を合わせて売上高約1兆5000億円のドラッグストア企業連合体が発足する可能性も出てきた。
スギHDとココカラファインの両社は、これまで非公式で業界再編に関する意見交換を行ってきたが、スギHDは4月27日付でココカラファインに対して正式に経営統合を提案。同社が提案を受け入れ、今月1日付で両社で合意書を締結した。
スギHDは、調剤併設型ドラッグストア「スギ薬局」を中心に、関東、中部、関西エリアに1190店舗を展開。このうち833店舗で処方箋調剤を実施しており、年間応需枚数は860万枚を超える。
一方、ココカラファインは全国に1354店舗を出店し、そのうち処方箋調剤を292店舗で実施している。両社とも調剤売上高はドラッグストア業界内では上位に位置する。
今回、スギHDは、経営統合により市場拡大が続く調剤を核とした医療・介護事業領域を強化し、量的・質的にナンバーワン企業を目指すことが可能と判断。両社の既存店舗網が大きく競合せず、エリア補完性が高くシナジーを得ることができるとしている。両社は今後、経営統合準備委員会を設置し、7月31日をメドに経営統合に関する基本合意書の締結を目指す。
一方、ココカラファインは、スギHDとの経営統合について、マツモトキヨシHDとの資本業務提携に向けた協議と並行して進める方針。今後、ココカラファインは社内に特別委員会を設置し、2社との協議について客観的な立場から総合的に検討していく予定という。
ドラッグストア業界は、ここ数年、大手が地場のチェーンをM&A等で傘下に収めることで企業規模を拡大する動きが進んでいる。近年は同業他社や異業種による出店や価格競争に、インターネット販売の台頭など、生き残りをかけた競争が激化している。今回の大手企業同士の経営統合が実現すれば、ドラッグストア業界の再編にさらに拍車がかかる可能性も出てきた。