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【GE協議会が討論会】「地域フォーミュラリー」調剤偏重から脱却へ−薬剤師本来の役割に回帰

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2019年06月03日 PM01:00


■GE協議会が討論会

NPO法人のジェネリック医薬品協議会は5月30日、都内でパネルディスカッション「ジェネリック医薬品とフォーミュラリー:地域フォーミュラリー推進に向けて」を開催し、実際に地域フォーミュラリーを導入した医療機関や保険者などが現状と課題を議論した。地域フォーミュラリーを導入した場合の医療経済への影響が大きいことに加え、医療の質向上にもつながることが示され、「地域フォーミュラリーは調剤に偏っていた業務から薬剤師本来の役割を取り戻す事業」との意見も出た。薬剤師が地域フォーミュラリー浸透の主体となるよう期待感が示された格好だ。

栗谷義樹氏(山形県酒田市病院機構理事長)は、昨年11月から開始した北庄内地域の医療機関や薬剤師会などによる地域フォーミュラリーの現状を報告した。フォーミュラリーが推奨する医薬品以外を処方した場合は、推奨薬でないことをアラートで伝えているなど実際の運用を紹介。その上で、院内フォーミュラリーと比べて導入の難易度が高い一方、地域の医療経済への影響が大きいと効果を指摘した。

栗谷氏は、地域フォーミュラリーについて、「これまで調剤に偏ってきた業務から薬剤師本来の役割を取り戻す事業であり、調剤薬局の今後のあり方を議論するきっかけとなる」との考えを示した。

保険者の立場から名波直治氏(全国健康保険協会静岡支部企画総務グループ長)は、2017年の協会けんぽ静岡支部のレセプトデータ約15万1200人分について、HMG-CoA還元酵素阻害薬など、四つの薬効群を対象に地域フォーミュラリーを導入した場合の削減額を提示。全体で約13億5700万円、最も削減想定額が大きい医療機関では約3180万円に上るとした。

また、名波氏はインフルエンザ領域などに絞って地域フォーミュラリーを導入した医療機関を例示し、「エビデンスと経済性を考慮して優先度を決めることで、地域で耐性ウイルスの問題にも対応できるなど、医療費だけでなく医療の質にも貢献できるのではないか」と述べた。

坂巻弘之氏(神奈川県立保健福祉大学大学院教授)は、フォーミュラリーをめぐる状況について、米国と英国における導入状況などを解説したほか、中央社会保険医療協議会が次期診療報酬改定に向けた検討項目の一つにフォーミュラリーなどへの対応を挙げていることに言及。

その上で、「全体的な医薬品の使い方の効率性をどう高めるかの議論が必要。後発品の使用割合が高まっているが、さらに後発品のシェアを上げるために、フォーミュラリーを使うことは違う気がする」と問題意識を示した。

座長を務めた渡邊善照座長(ジェネリック医薬品協議会理事長)は、フォーミュラリーについて、「医薬品の安全性・適切性を確保するため、薬剤師が旗振り役を担わないと進まない。必ず医師と連携、協議して患者のために働く方策を実践すれば、地域に派生すると思う」との考えを述べた。

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