文部科学省の玉上晃大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当)は28日の参議院厚生労働委員会で、医学部、歯学部では入学定員の需給調整が図られているものの、薬科大学・薬学部では定員の制限がないという入学定員の問題について、「厚生労働省の薬剤師需給に関する検討の動向を踏まえ、適切に対応していきたい」との考えを示した。自民党の自見はなこ議員の質問に対する答弁。
自見議員は、6年制薬学教育がスタートし、薬科大学・薬学部が75大学に増加している現状を示しつつ、医学生が医師国家試験にストレートで合格する割合が医学部で75%に上るのに対し、薬科大学・薬学部では薬学生の薬剤師国家試験のストレート合格の割合が54.5%にとどまると指摘。特に私立大学では、44.6%がストレートで合格できない学生を抱えているとし、「非常にどうしたものかと思う。一体どうなっているのか」と疑問を呈した。
さらに、財政審歳出改革部会で薬剤師国試の合格率が19~100%までバラツキがあると指摘されたことに言及。「これをみるだけでも、薬剤師の養成と若者の未来をどう考えているのか疑問を抱かざるを得ない」と指摘。「大学に運営費交付金という税金が定員に応じて支払われているが、税金が有効活用されていると言えるのか」と問題提起した。
その上で、自見議員は、「医師、歯科医師は学校教育法に基づく告示で入学定員の需給調整が図られているが、薬学部では一切制限がないのが現状。需給調整を行うべき」と迫った。
これに対し、玉上審議官は、「医学部、歯学部は政府全体の抑制方針に基づき原則として定員を抑制している一方、薬学部は定員の抑制方針は示されておらず、定員を抑制していない」と認めつつ、「薬学部の入学定員のあり方については、厚労省の薬剤師需給に関する検討の動向を踏まえ、適切に対応していきたい」との考えを示した。