東北メディカル・メガバンク計画住民コホート研究データを解析
東北大学は5月27日、1つの新規遺伝子を含む7つの日焼け・白肌を決める遺伝子を同定したと発表した。この研究は、同大学医学系研究科皮膚科学分野の志藤光介医師、山﨑研志准教授、相場節也教授らと、同大学東北メディカル・メガバンク機構ゲノム解析部門の小島要講師らによるもの。研究成果は、米国研究皮膚科学会誌「Journal of Investigative Dermatology」に掲載された。
画像はリリースより
肌の色は、その色合いや日焼けのしやすさからいくつかのスキンタイプに分けられる。日本人のスキンタイプは日焼けのしやすさから、白肌で赤くなるが黒くならない1型、中間の2型、褐色から色黒肌で赤くならずに黒くなる3型の3タイプに分けられる。今回の研究では、東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査参加者約1万人(宮城県、岩手県在住)を対象として、アンケート情報にある日焼けのしやすさについての質問項目からスキンタイプ情報に対してゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。
7つの遺伝子を同定、うち1つは日焼けと関連ないとされていた遺伝子
その結果、日本人の日焼けに関連する7つの関連遺伝子を同定。この7つの中で、日本人のスキンタイプに最も強く影響を与えているOCA2遺伝子は、欠失変異により白皮症(肌や髪の毛が真っ白になる状態)になることが知られており、今回の研究ではOCA2遺伝子の少しの変化(一塩基多型:SNP)が日本人のスキンタイプにも影響することがわかった。
OCA2遺伝子をさらに詳しく解析すると、複数箇所のSNPが日本人スキンタイプに関連することが明らかになり、OCA2遺伝子上に複数のSNPを持つ人が日焼けに弱い傾向にある1型に多いこともわかった。さらに、スキンタイプ・日焼けとの直接的な関連が知られていなかった RAB32遺伝子(メラニンの細胞内合成と輸送に関係するタンパク質)が日本人のスキンタイプに影響することも発見。肌の色を決める主要な色素であるメラニンは皮膚の色素細胞で産生されることから、RAB32遺伝子のSNPがメラニン色素の移動しやすさに影響してスキンタイプを決めていることが予想されるという。「スキンタイプは日光による皮膚老化や発がんのしやすさに影響するため、今回の研究の成果は皮膚老化や皮膚発がんの予防研究に発展することが期待される」と、研究グループは述べている。
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