厚生労働省の「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」は27日、一人ひとりの遺伝子情報に適した治療を行う癌ゲノム医療に関する高度な機能を備えた中核拠点病院などの指定要件見直しに関する報告書を取りまとめた。9月に新設予定の「がんゲノム医療拠点病院」について、遺伝子パネル検査の実施体制など中核拠点病院と同等の機能を有していることなどを盛り込んだ。来月に開催予定の検討会に報告後、中核拠点病院、拠点病院を2021年度まで指定する予定である。
報告書では、拠点病院・中核拠点病院・がんゲノム医療連携病院間の連携体制に関して、医療提供体制の面で連携病院は、原則として1カ所の拠点病院または中核拠点病院と連携するとした。人材育成や治験の面では、中核拠点病院が中心的な役割を担うこととし、拠点病院と連携病院が中核拠点病院と連携する体制とした。
拠点病院の要件に関して、医療提供体制の面では、パネル検査の実施体制や検査結果を医学的に解釈できる専門家を有しているなど、中核拠点病院と同等の機能を求めた。人材育成、治験・先進医療については、遺伝カウンセリングや適切な臨床情報の収集・管理、中核拠点病院と連携するなど、連携病院と同等の機能が必要とした。
現在は固形癌を対象としたパネル検査が承認されているが、将来的には血液癌を対象としたパネル検査についても医療提供体制の整備を進めるべきとした。また、ゲノム情報を「究極の個人情報」とし、国やがんゲノム情報管理センター(C-CAT)、医療機関で適切に管理する必要があるとした。
指定期間については、中核拠点病院、拠点病院ともに21年度までとした。22年度以降の指定期間に関しては、癌ゲノム医療の進歩の早さなどを考慮すると、「現在の整備指針で規定した4年の有効期間は長すぎる」とし、再度議論することを記載した。