ダビガトランとアセチルサリチル酸の有効性と安全性を比較
ドイツのベーリンガーインゲルハイムは5月16日、塞栓源不明の脳塞栓症(Embolic Stroke of Undetermined Source:ESUS)患者の脳卒中再発抑制に関して、ダビガトランエテキシラート(プラザキサ(R)、ダビガトラン)とアセチルサリチル酸(アスピリン、ASA)の有効性と安全性を比較する第3相無作為化二重盲検比較試験であるRE-SPECT ESUS(R)試験の結果を発表した。この結果は、「The New England Journal of Medicine」(NEJM)に掲載されている。
RE-SPECT ESUS試験には、40か国以上5,390名のESUS患者が参加。患者は、ダビガトラン150mg 1日2回投与群(75歳以上または腎機能障害の患者については110mg を1日2回投与)と、ASA 100mg群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ESUSと診断された脳卒中後の患者における全ての脳卒中の再発リスクに関して、ダビガトランがASAに対して優越性を検証することだった。
ダビガトランの優れたリスクベネフィットプロファイルを再確認
試験の結果、主要評価項目であるESUS患者における全ての脳卒中の再発について、ダビガトランはASAに対し、優越性を検証できなかった。しかしながら、事後解析により、1年後以降にダビガトランに好ましい治療効果がみられたことが明らかになった。安全性の主要評価項目であるISTH基準による大出血の発現は、ダビガトランはASAに対し、有意な増加は認められなかった。また、頭蓋内出血などの最も重篤な出血に関して、ダビガトランはASAと同程度に低リスクであることが示されたという。
この結果は、ダビガトランとASAを比較した初めての試験として、既に承認されている適応症に対して広範囲に安全性が確認されているダビガトランの一連の臨床試験プログラムであるRE-VOLUTION(R)やレジストリー研究の結果を支持するもの。この結果から、ダビガトランの優れたリスクベネフィットプロファイルが再確認されたと同社は述べている。なお、現在、ESUSの治療薬としてダビガトランが承認されている国はない。