シロスタゾールを用いた抗血小板薬併用の脳梗塞再発予防効果を検証
国立循環器病研究センターは5月21日、慢性期非心原性脳梗塞患者へのシロスタゾールを含めた抗血小板薬2剤併用療法の脳梗塞再発予防効果を検討する無作為化比較試験Cilostazol Stroke Prevention Study for Antiplatelet Combination(CSPS.com)を行い、その結果を公表した。この研究は、同センターの山口武典名誉総長を研究代表者とする国内多施設共同研究グループによるもの。研究成果は「Lancet Neurology」に、日本時間で同日掲載された。
画像はリリースより
非心原性脳梗塞患者の再発予防治療として、抗血小板薬の服用は欠かせない。特に発症後早期から亜急性期にかけては、主にアスピリンとクロピドグレルを用いた2剤併用が勧められている。しかし長期の抗血小板薬2剤併用は抗血小板薬単剤と比べて、有意な脳梗塞再発抑制効果が実証されておらず、むしろ出血性合併症を増加させるために、行わないよう勧められている。国産薬であるシロスタゾールは、出血性合併症を起こしにくいとして知られている。以前国内で行われたCSPS2試験によって、非心原性脳梗塞患者へのシロスタゾール服用が、アスピリンと比べて有意に脳卒中再発や出血性合併症の発現を抑止することが示された。この結果に基づいて、シロスタゾールは脳梗塞再発予防薬として高く評価されているが、シロスタゾールを用いた抗血小板薬併用の脳梗塞再発予防効果は、これまで十分検討されていなかった。
併用群で脳梗塞再発の発現率が約半分に
今回行われた試験は、無作為化非盲検並行群間比較試験。発症後8~180日の非心原性脳梗塞で、頸部または頭蓋内の動脈に50%以上の狭窄を認めるか、2つ以上の動脈硬化危険因子を有するかの条件を満たす1,879例を、2013年12月~2017年3月にかけて国内292施設から登録。1.4年間(中央値)の観察期間の間、アスピリンあるいはクロピドグレルを用いた抗血小板薬単剤服用群と、この2剤のどちらかにシロスタゾール(先発薬であるプレタールを使用)を併用する群に無作為に割り振って、治療を継続した。
結果、主要評価項目である脳梗塞再発は、併用群で発現率が約半分に有意に抑えられた。副次評価項目としての全ての脳卒中なども、同様に併用群が有意に発現を抑えた。一方、安全性評価項目の出血性合併症については、2群間で有意差を認めなかった。
今回、CSPS.com試験によって、ハイリスク非心原性脳梗塞患者にアスピリンまたはクロピドグレルに加えてシロスタゾールを長期併用することで、単剤治療に比べて脳梗塞再発予防効果が向上し、かつ安全性についても差がないことが示された。「シロスタゾールの早期副作用である頭痛や動悸・頻脈の影響を受けないハイリスク脳梗塞患者の再発予防には、アスピリンまたはクロピドグレルに加えて、シロスタゾール長期間併用投与することを考慮した方が良いと考えられる」と、研究グループは述べている。
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・国立循環器病研究センター プレスリリース