慶應義塾大学病院主導の8施設の多施設研究に基づき
中外製薬株式会社は5月22日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ(R)点滴静注用80mg、同200mg、同400mg」(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))に関し、「既存治療で効果不十分な成人スチル病」の効能・効果、および成人スチル病に対する用法・用量の追加について、厚生労働省より承認を取得したと発表した。
今回の承認は、医師主導治験である「トシリズマブの成人発症スティル病に対する臨床試験」等に基づくもの。同治験は、2011年7月に国内の「早期・探索的臨床試験拠点事業」の医薬品/免疫難病分野の拠点として選出された慶應義塾大学病院が主導となり、8施設の多施設研究として実施。副腎皮質ステロイド治療で効果不十分な患者を対象に、アクテムラの有効性および安全性を検証するためプラセボを対照として実施した無作為化二重盲検試験である。
既存治療で効果不十分な成人スチル病に対する治療薬として、初めて承認
成人スチル病は、自己免疫疾患で国の指定難病のひとつ。39度以上の発熱、関節炎、淡いピンク色の皮疹の3つの症状を主徴とする。男女比は1:1.3で女性に多く、平均発症年齢は46.5歳で、比較的若年層に多いと言われている。発症原因は不明だが、白血球中の単球やマクロファージが炎症性サイトカインを大量産生することにより、体内に強い炎症が起こると推定されている。
2010~2011年の厚生労働省研究班調査によると、日本における患者数は約4,800人と推計されており、副腎皮質ステロイドを用いた炎症の抑制が標準治療となっている。しかし、ステロイド抵抗性の難治例に対して保険適応のある薬剤は存在せず、アンメットメディカルニーズの高い疾患だ。アクテムラは、既存治療で効果不十分な成人スチル病に対する治療薬として、初めて承認された薬剤となる。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース