■歳出改革部会で指摘
財務省は16日、財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会の初会合を開き、大学等の高等教育にかかる経済負担軽減について議論した。基本的な教育の質を保証できていない大学があるとして、6年制薬学部の大学ごとの卒業率や薬剤師国家試験合格率を例示。「6年間で国家試験に合格した学生の割合が19%から100%まで大きな差がある」と指摘し、6年制薬学教育の成果を問題視。教育成果を学生が身につけられない大学は、国民の税負担で温存しないよう経済負担軽減の対象除外とすることを徹底すべきとの考えを示した。
財政制度分科会では、国の財政全体を議論の対象としているが、歳出改革部会では各歳出分野における予算編成上の課題を集中的に検討する。この日の初会合では「文教・科学技術」分野を議論した。その中で、10月の消費税率引き上げにより、来年度から大学等の高等教育にかかる経済負担が軽減されるが、「さらなる負担軽減が必要」との指摘があることについて、教育の質への影響を踏まえて検討した。
財務省は、大学教育の実態として、国公私立大学の6年制薬学部を例示。6年間で卒業できなかった人、6年間で卒業した人、卒業した人のうち薬剤師国家試験に合格した人の割合を匿名で大学別に示し、「6年間で国家試験に合格した学生の割合が19%から100%まで大きな差がある」と指摘した。
その上で、「高等教育を修めたにもかかわらず、将来必要となる十分な知識や技術などの成果を身につけられない例がある現状は問題」と言及。負担軽減に関する検討の方向性として、「学生が教育の成果を身につけられない大学を国民の税負担で温存することのないよう教育の質のチェックと第三者への公表、これらが不十分な大学の経済的負担軽減の対象除外を徹底することが真の課題」との考えを示した。
委員からは、「人材は国の将来を左右する大事な要素で、質を上げることにつながるものには支出すべきだが、学生に勉強させている大学かどうかをしっかりチェックする必要がある」「勉強させているかどうかを見られるような指標を作り、評価や予算配分に反映させるべき」などの意見が上がった。
一方、歳出の大半を占める社会保障分野について、増田寛也部会長(東京大学公共政策大学院客員教授)は「歳出改革の本丸」と位置づけ、「公聴会、自治体、関係団体のコメントなどを見つつ、高額薬剤も含め、秋に向けて資料やスタンスを準備して臨みたい」との考えを示した。