CPOの推定と薬剤感受性試験を同時に実施し、検査時間を大幅に短縮
日本ベクトン・ディッキンソン(日本BD)株式会社は5月15日、感染症アウトブレイクの原因となることで世界的な脅威となっているカルバペネム分解酵素(カルバペネマーゼ)産生菌(CPO)の推定と薬剤感受性試験を同時に行い、検査時間を大幅に短縮することで適切な薬剤選択と迅速な感染管理に貢献するBDフェニックス(TM)「グラム陰性菌用CPOパネル」を同日より発売すると発表した。
画像はリリースより
グラム陰性菌には大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌などがあり、尿路感染症や敗血症、肺炎などを起こす。また、グラム陰性菌による感染症の治療において、最も重要な抗菌薬となる、メロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬が効かない耐性菌があることに加え、従来の検査機器では、カルバペネムに感性があると判断されるギリギリの領域(メロペネムのMIC0.25~1㎍/L)に、検出の難しいカルバペネマーゼを産生する菌が隠れていることがあり、これらCPOをどのように捉えるかが大きな課題となっていた。
CPOを高精度で検出、治療の早期開始を可能にし、見落としによる感染拡大も抑制
そこで、日本化学療法学会、日本感染症学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会の四学会が、「カルバペネムに耐性化傾向を示す腸内細菌科細菌の問題-カルバペネマーゼ産生菌を対象とした感染対策の重要性-」を連携提案としてまとめ、感受性試験のブレイクポイントをEUCAST(欧州抗菌薬感受性試験法検討委員会)が推奨するメロペネム0.125㎍/Lとする必要性を示した。
グラム陰性菌用CPOパネルは、この四学会連携提案に対応し、メロペネムのMICを0.125㎍/Lとしており、カルバペネマーゼ産生菌(CPO)を高い精度で検出し、適切な治療の早期開始を可能にするとともに、見落としによる感染拡大のリスクを抑えるという。
また、同パネルは細菌の同定と薬剤感受性試験を全自動で行うBDフェニックスシステム専用パネルで、従来の細菌の同定と薬剤感受性試験に加え、CPOの推定を同時に検査できる国内初の試薬。同試薬は、CPO推定までの検査時間をこれまでの1/5~1/8となる最短6時間に短縮。薬剤感受性試験で測定可能な薬剤は最大24剤で、今年1月に承認されたセフェム系抗菌薬であるタゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩(製品名:ザバクサ)も含まれる。
日本BDは「革新的技術で、感染症のスクリーニングや検査、診断の迅速化に貢献するさまざまな製品の開発に取り組むとともに、感染をモニタリング・追跡するサーベイランスシステムを提供することで、適切な治療の促進と薬剤耐性菌のアウトブレイク抑制に貢献していく」と、述べている。
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・日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 プレスリリース