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【厚労省】ベージニオに安全性速報-間質性肺疾患で死亡例、注意喚起

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2019年05月20日 AM11:30

厚生労働省は17日、日本イーライリリーの抗癌剤「ベージニオ錠」(一般名:)について、昨年11月末の販売開始後半年間で、間質性肺疾患の国内症例が14件、そのうち死亡に至った症例が3件、市販直後調査で報告されたことから、添付文書の「使用上の注意」の改訂と安全性速報()で医療関係者に速やかに注意喚起するよう同社に指示した。同剤との因果関係が否定できない死亡例1件では、乳癌に罹患した50歳代女性が投与後、間質性肺炎等を発症して死亡したことが確認されている。厚労省は、市販直後調査の結果を踏まえ、「注意喚起をより徹底することが必要」と判断し、今回の対応に踏み切った。

ベージニオ錠は、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌を効能・効果として、昨年11月30日から販売され、使用患者数は約2000人と推定されている。

これまでも臨床試験の成績を踏まえ、添付文書で間質性肺疾患に関する注意喚起が行われてきたものの、昨年11月~今年5月までの市販直後調査の結果、重篤な間質性肺疾患が発現した国内症例が14件、そのうち死亡症例が3件確認され、さらに同剤との因果関係が否定できない国内症例は4件、死亡例は1件だった。

この死亡例の経緯を詳しく見ると、乳癌に罹患した50代女性に当初は他の薬剤が投与されていたが、腫瘍マーカーが増加傾向にあったため、150mgを1日2回とフルベストラント注射剤の投与に変更。投与後37日目に間質性肺炎、呼吸不全による低酸素脳症(脳死状態)が発現。その7日後に心停止し、間質性肺炎と低酸素脳症により死亡した。

ブルーレターでは、投与の際に間質性肺疾患の初期症状を確認して、胸部X線検査の実施など患者の状態を十分に観察するなど、添付文書の改訂と同様の内容を医療関係者が使用する際に留意すべき事項を記載。患者・家族向けに、「息切れ、息苦しい、から咳、発熱等の間質性肺疾患の初期症状が現れた場合はすぐに医師・薬剤師に相談すること」と注意喚起した。

添付文書の改訂については、「警告」の項に、「間質性肺疾患が現れ、死亡に至った症例も報告されているため、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認および胸部X線検査の実施など、患者の状態を十分に観察すること」とし、異常が認められた場合は同剤の投与を中止し、必要に応じて胸部CT、血清マーカーなどの検査を実施すると共に、適切な処置を行うよう注意喚起した。

また、「慎重投与」の項では「間質性肺疾患のある患者またはその既往歴のある患者(間質性肺疾患が増悪する可能性がある)」を追記。「重要な基本的注意」の項には、患者に副作用について説明すると共に、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合は、速やかに医療機関を受診するよう説明するよう求めたほか、「副作用」の項に「必要に応じて胸部CT、血清マーカーなどの検査を実施すること」を追記した。

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