売上高を見ると、武田は3カ月間の旧シャイアー製品が連結対象に加わり前期比19%増の二桁成長。シャイアー製品を含まない決算では、グローバル製品の伸長で1%増となった。医療用医薬品の海外売上収益では5.6ポイント上昇し、75.0%となった。
潰瘍性大腸炎治療薬「エンティビオ」は欧米で拡大し、34%増と今年度は3000億円を突破する勢い。癌領域では、多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」が7%減となったが、後継の「ニンラーロ」が販売する全地域で成長。1000億円超のブロックバスターは3製品となった。シャイアー製品では、血友病A治療薬「アドベイト」など希少疾患治療薬が計上され、3092億円上乗せした。
アステラスは、国内は長期収載品の落ち込みで5%減となったが、グローバル製品でカバーし、0.5%増とわずかに増収を確保した。国内、EMEAの落ち込みを、米国を含めた米州とアジア・オセアニアで吸収し、海外売上比率は2ポイント増の70%となった。
抗癌剤のエンザルタミドは、世界全地域で売上を伸ばし、13%増の3331億円と国内製薬企業が販売する中でトップ製品となった。過活動膀胱(OAB)治療剤のミラベグロン製剤は二桁の伸びを示した。
エーザイは、北米が13%減と落ち込んだが、レンビマの売上がほぼ倍増。米メルクからの一時金・マイルストン収入による貢献もあり、7%増と順調に推移した。抗癌剤「ハラヴェン」が4%増、抗てんかん薬「フィコンパ」も32%増とグローバル製品が成長した。
一方、第一三共は、主力のオルメサルタンが特許切れの影響で30%減と大幅に落ち込み、全体で3%の減収となった。グローバル戦略品では、抗凝固薬「エドキサバン」が43%増となり、1000億円を超える大型製品に成長。国内では特例拡大再算定品目の抗潰瘍剤「ネキシウム」が10%減となり、ワクチンを含む医療用医薬品事業では3%減となった。
利益面では、武田はシャイアー買収関連費用が響き大幅減益となったが、単体では67%増の最終増益となった。アステラスとエーザイは増益。第一三共も前期に減損損失を計上していた特殊要因があり、増益となった。
20年3月期は、武田はシャイアー製品が通期で寄与し、売上高3兆円を突破するものの、シャイアー買収関連費用が重荷となり、3830億円の最終赤字を見込む。第一三共は、抗癌剤「DS-8201」の契約一時金などで増収営業増益、エーザイは3期連続の増収増益を計画。アステラスはOAB治療薬「ベシケア」などの特許切れ影響で、減収二桁減益を予想する。
表:国内製薬大手4社の2019年3月期決算