MCL患者の治療薬として承認されている「BTK阻害剤」
英アストラゼネカは5月7日、前治療歴のある慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象としたアカラブルチニブ(Calquence)の第3相ASCEND試験の中間解析において主要評価項目を達成し、試験を早期終了したと発表した。
アカラブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害剤。BTKに共有結合することで、その阻害作用を発揮する。BTKシグナルはB細胞の増殖、輸送、走化、接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られている。
同剤は、2017年10月に米国食品医薬品局(FDA)より、1回以上の前治療歴のある成人マントル細胞リンパ腫(MCL)患者の治療薬として迅速承認を取得。日本ではまだ未承認だが、現在までに、米国、ブラジル、UAEおよびカタールで承認されており、CLLおよびその他の血液がんの治療薬としての開発も進んでいる。
単剤療法でPFSの改善示す
ASCEND(ACE-CL-309)試験は、前治療のあるCLL患者を対象にアカラブルチニブの有効性を評価する、無作為化、多施設共同、非盲検である国際共同第3相試験。同試験では、310例をアカラブルチニブ単剤群と、リツキシマブをベースに医師が選択したイデラリシブまたはベンダムスチン併用群との2群に分け、1対1で無作為割付けをしている。なお、アカラブルチニブ単剤群は、100mgの1日2回の投与を病勢進行が認められるまで受けている。主要評価項目は、独立判定委員会(IRC)によって評価されたPFSで、副次評価項目は医師の評価によるPFS、IRCと、医師の評価による全奏効率、奏効期間、全生存期間、患者報告による治療アウトカムおよび次治療までの期間(TTNT)である。
同試験において、アカラブルチニブの単剤療法は、リツキシマブをベースに医師の選択したイデラリシブまたはベンダムスチンとの併用療法と比較し、統計学的かつ臨床的意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示した。また、アカラブルチニブの安全性および忍容性は、これまでに報告されているプロファイルと一致していたという。
現在、アストラゼネカとAcerta Pharmaでは、アカラブルチニブについて、26の臨床試験を実施している。同剤は、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、濾胞リンパ腫、多発性骨髄腫およびその他の血液悪性腫瘍を含む複数のB細胞性の血液がんの治療薬として開発中だ。CLLを適応症とするASCEND試験、ELEVATE-TN試験、ELEVATE-RR(ACE-CL-006)試験を含む複数の第3相試験が進んでおり、前治療歴のあるCLL患者を対象としたイブルチニブとの比較試験や、前治療歴のないCLL患者を対象にした、ベネトクラクスおよびオビヌツズマブとの併用療法を評価するACE-CL-311試験が進行中である。
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