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心房細動を有する脳梗塞患者への実臨床での抗凝固療法比較解析、日本を含む6研究の国際統合結果—国循

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2019年05月13日 PM12:30

日本でのSAMURAI-NVAF研究を含む国際統合解析結果を報告

国立循環器病研究センターは5月8日、心房細動を有する脳梗塞患者への実臨床での抗凝固療法について、日本で行われたSAMURAI-NVAF研究を含む国際統合解析結果を報告したと発表した。この国際研究は、国循脳血管内科の古賀政利部長らの国際チームによるもの。研究成果は、米国神経学会(American Academy of Neurology)機関誌の「Annals of Neurology」に電子掲載された。


画像はリリースより

SAMURAI-NVAF研究は、「非弁膜症性心房細動を有する急性期脳梗塞・TIA患者への抗凝固療法選択と治療成績に関する多施設共同研究(Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement-NonValvular Atrial Fibrillation)」。2011年から2014年にかけて、国内18施設に急性脳梗塞や一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)で緊急入院し、非弁膜症性心房細動を有した1,192例を登録して、2年間の追跡調査を行った。主解析結果は、国循脳血管内科の吉村壮平医師らによって公表されており、他にも、いろいろな観点から解析したサブ研究が発表されている。

脳梗塞再発予防の実臨床におけるDOACとワルファリンとの効果を比較

心原性脳塞栓症の発症予防には、血液が固まる作用を抑制する抗凝固薬が使われている。従来からのワルファリンに加えて、2011年以降に国内ではダビガトラン、、エドキサバンの4つの直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)が、次々と承認されていた。

非弁膜症性心房細動を有する脳梗塞患者に、これらのDOACやワルファリンがどのような再発予防効果を示すかは、各DOAC開発時の無作為化比較臨床試験のみでは判断し難い点が多い。開発試験は条件の整った患者を登録して行うため、たとえば脳梗塞発症後早期からDOACを使えるか、高齢で合併症の多い患者にどう対応するかなどの疑問に応えるためには、実臨床における質の高い観察研究を統合して、検討する必要があると考えられていた。今回は、スイス・バーゼル大学脳神経内科のDavid J Seiffge医師の呼びかけに応じて、同研究と欧州での6研究の統合解析を進めた。

DOACはワルファリンに比べ頭蓋内出血が少ない

解析対象症例は、同研究と同様に非弁膜症性心房細動を有し、脳梗塞やTIAの発症後にDOACまたはワルファリンの内服を開始した4,912例(女性47.5%、年齢中央値78歳)で、3か月以上の追跡を行った。DOAC服用群(2,656例)もワルファリン服用群(2,256例)も年齢、性別その他の背景要因は大差なく、またどちらの群も脳梗塞発症の5日後(中央値)という比較的早い時期に内服を始めている。今回の統合解析では、1.脳梗塞再発、2.頭蓋内出血、3.死亡、およびこの3つのいずれかが起こった場合を評価項目に設定。ワルファリン服用患者と比べて、DOAC服用患者では3つのうちいずれかの発症と頭蓋内出血が有意に少なく、脳梗塞再発と死亡には群間の有意差が認められなかった。

今回の結果により、脳梗塞実臨床において、発症後早期からのDOAC服用がワルファリンと比べて頭蓋内出血を起こしにくいが脳梗塞再発を必ずしも有意に減らしていないことが、日欧の多数例の解析で示されたこととなる。なお、この結果は、SAMURAI-NVAF研究単独での結果と同様だったという。同国際チームは、今後も各種統合解析を進めていきたいとしている。

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