レビー小体病を対象に、進行抑制療法の候補分子スクリーニングを実施
東北大学は5月8日、パーキンソン病進行抑制療法の候補分子探索を実施し、その成果を2019年4月9日付けで特許出願したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科神経内科学分野の長谷川隆文准教授と、ウシオ電機株式会社の連結子会社である株式会社プロトセラが共同で行ったもの。発明の名称は「パーキンソン病をはじめとするレビー小体病を対象とした進行抑制療法の候補分子スクリーニング」で、研究成果は5月25日に「第60回日本神経学会学術大会」にて発表予定。
画像はリリースより
パーキンソン病(PD)をはじめとするレビー小体病(LBD)は、アルツハイマー病に次いで頻度の高い神経変性疾患(PD/LBD)。体の動きに障害が現れる疾患で、「動作が遅くなる」「手足が震える」「筋肉が固くなる」「バランスが取れなくなる」などの病態を示す。病理学的には構造変化により病的な線維化を生じたα-シヌクレイン(α-Syn)というタンパク質を主成分とするレビー小体(LB)の出現と、運動を調節する神経細胞(中脳黒質・青斑核のカテコラミン産生神経細胞)の減少を特徴とする。
PD/LBD患者の脳では、線維化α-Synが神経細胞間を伝播することで病変が拡大する可能性が指摘されており、神経細胞への線維化α-Syn取り込みには、細胞表面にある膜タンパク質(α-Syn受容体)が関与することが示唆されている。
線維化α-Syn細胞間伝播メカニズムの解明に期待
今回、プロトセラの特許技術である「Membrane Protein Library(R)(MPL)法」と「BLOTCHIP(R)-MS法」の組み合わせ技術により、世界に先駆けて脳組織からの線維化α-Syn受容体の網羅的探索を実施し、複数の候補分子を同定することに成功した。
哺乳動物の脳組織に存在する新規の線維化α-Syn受容体候補タンパク質が同定されたことにより、線維化α-Syn細胞間伝播メカニズムの一端が明らかにされることが期待される。今後は、線維化α-Syn受容体候補分子に対する特異抗体や結合阻害分子を用いることで、選択的かつ効率的に線維化α-Syn取込み・伝播を抑制するPD/LBD進行抑制療法の開発を目指したいとしている。
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