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【名古屋で医学会総会】健康長寿社会の実現探る-市民と対話、社会に成果示す

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2019年05月10日 PM12:00


■名古屋で医学会総会

第30回日本医学会総会が4月27~29日の3日間、「医学と医療の深化と広がり―健康長寿社会の実現をめざして」をメインテーマに、名古屋市の名古屋国際会議場を主会場に開かれた。1902年以来、4年に1回開かれ約120周年を迎えた今総会は、中部8県の医科大学、県医師会のオール中部体制で開催。四つの柱からなるプログラムを企画し、先端医学・医療や健康長寿社会実現のための取り組みまで幅広く議論した。初めて国際化の課題にも向き合った。市民公開講座も14セッション開催し、人生100年時代の到来に向けて国民の健康への関心が高まる中、市民との対話を積極的に実践する、より社会に開かれた総会となった。

盛大に開かれた開会式

開会式で齋藤英彦会頭は、3月30日から4月7日までポートメッセなごやで開催した市民展示「健康未来EXPO」に言及。「多くの親子連れが訪れて参加者は30万人を超え、医学会総会の目的の一つである市民への医学医療、健康情報を届けること、市民との対話は成功としたと思う」と成果に自信を示した。

その上で、「世界有数の長寿国となった日本だが、平均寿命と健康寿命に大きな差がある」と指摘。「人口減少により、医療介護の担い手不足、医療費や介護費用の増加による社会保障の持続性が大きな問題。さらに、ゲノム医療や人工知能等の革新技術が臨床応用され、これまでの常識が生命倫理の枠を超える可能性があり、かつてないほど社会のコンセンサスを得ることが必要な時代にある」と式辞を述べた。

来賓として出席した日本医師会の横倉義武会長は、「政府が5年後に発行する新1000円札の肖像画に日本医師会の初代会長の北里柴三郎先生を採用すると発表があった。北里先生は、1902年に開催された医学会総会の前身である第1回日本連合医学会の副会頭を務められており、とても感慨深い」とした上で、「北里先生は、予防医学を確立することが近代化であると言っていたが、日本医師会も北里先生の志を受け継ぎ、治療を主体とする医療のみならず予防や健康づくりに力点を置く健康長寿社会の実現に力を尽くしていきたい」と語った。

主催地を代表してあいさつに立った大村秀章愛知県知事は、「名古屋で医学会総会が開催されるのは3回目24年ぶりとのことで、心からお祝い申し上げたい」と歓迎。「グローバル化、少子高齢化が進む中で、日本の医療、医学は世界からの期待が大変高い。世界の人類の未来を切り拓く担い手として活躍、発展することを大いに期待したい」とメッセージを送った。

■人生100年へ予防推進‐会頭講演で提言

4月27日の会頭講演では、齋藤会頭が「医学・医療と生老病死:不変の精神と技術革新」をテーマに論じた。齋藤氏は、平均寿命の伸びと先端医療の登場を列挙し、高齢化と共に高まる医療費の増加により、国民皆保険制度の危機にあると指摘。その解決策として疾病予防・介護予防の推進などを提言した。

齋藤氏は、先進国の平均寿命に言及。特に100歳以上の「百寿者」が1963年に153人だったのが2018年には6万9785人と450倍に急増していることを指摘。日本の比較的平等な社会、経済発展、医療制度が平均寿命の伸びに貢献してきたとの認識を示した。

一方で、ゲノム医療や遺伝子治療、バイオバンク、再生医療などの先端医療が登場し、生命倫理や高額な医療費などの新たな問題が出てきており、国民皆保険の危機にあると指摘。「医療の質、アクセス、コストの全てを満たすのは難しい」との認識を述べ、先進国の9大死因のトップがタバコ、2位が高血圧、4位が運動不足であったデータを提示。「いかに生活習慣を改善することが大事かを示している」と解決策を示した。

その上で、国民皆保険制度、地域包括ケアシステムの構築を前提に「生活習慣の改善や運動、ワクチンなどの疾病予防、介護予防の推進を提案したい」と提言。予防がインセンティブになる診療報酬体系、技術革新による効率化、省力化なども訴えた。

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