■制度疲労も指摘、歴史的な転換期に
新元号「令和」の時代が幕を開けた。ちょうど改元の時期に当たる2019年、薬業界もまた歴史的な節目を迎えている。特に顕著なのが、薬局薬剤師と製薬企業を取り巻く環境変化と業務の大転換である。医薬分業の進展により、院外処方が右肩上がりで増加し、「調剤薬局」と言われる形態が雨後の筍のように乱立。17年度の処方箋受取率が73%と頭打ち傾向がみられる中、薬局薬剤師に対する国民の視線はかつてなく厳しく、調剤業務をめぐる根本的な見直し機運が迫る。製薬業界も従来型ビジネスの転換期にあり、薬価制度の抜本改革が直撃するのみならず、MRの販売活動に国のガイドラインが目を光らせる時代に突入。人員削減も過去にない規模で断行され、手厚い人的資源を投入してきた営業体制も刷新が不可避となった。8割を後発品が占める国内市場の環境は一層不透明さを増していくだろう。これまでの常識がオセロゲームのように次々と非常識となりつつある。診療報酬や薬価の制度疲労も指摘される中、令和時代の薬業界は全ての業務を総点検して改革を実行し、国民の期待に応える新しい道を模索していくことになる。
昭和から平成の時代へと変遷する中で最大の危機に直面している一つの職種は薬局薬剤師であろう。特に15年に規制改革会議の公開討論で医薬分業が取り上げられて以降、「院外薬局に行く手間に見合うサービスが受けられているのか」という議論が噴出。それが厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」の策定につながり、地域住民が気軽に相談できる「健康サポート薬局」、16年度改定での「かかりつけ薬剤師指導料」の創設と矢継ぎ早の対策が打ち出された。