膵がんホーミングペプチドの独自開発に成功
新潟大学は4月25日、膵がんへの薬物送達システム(DDS)の輸送体(キャリア)となる特殊ペプチドを独自の手法で開発したと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科分子細胞病理学分野の近藤英作教授らの研究グループによるもの。同ペプチド技術を応用して、膵がんに対する次世代抗がん剤の創成を目指し、エーザイ株式会社の米国子会社であるエーザイ・インクとの共同研究を実施する。
画像はリリースより
現行医療上の最難治がんである膵がんの征圧は、日本のみならず全世界的に危急の最重要解決課題となっている。難治がんに対して種々の抗体医薬が開発されている一方で、抗体に代わってペプチドを応用する PDC(peptide-drug conjugate)の開発も、がん征圧のための次世代戦略として研究されている。
そのような中で研究グループは、難治の膵がん細胞・組織に対する選択的で高吸収性能を発揮する新規ペプチドの独自開発に成功し、「膵がんホーミングペプチド」と命名した。このペプチドのポテンシャルを応用した膵がん治療のためのPDC創薬開発のため、エーザイ・インクと膵がんホーミングペプチドに関する特許の独占的ライセンス契約および共同研究契約を締結し、同社研究所EPAT(Epochal Precision Anti-Cancer Therapeutics、プレジデント上仲俊光)と共同で従来の膵がん治療剤を凌駕する新規抗がん剤の開発を推進していくという。
革新的な治療効果を生む抗膵がん剤新薬を共同開発へ
今回研究グループは、独自の腫瘍ホーミングペプチドの開発技術を基盤にして、難治がんである膵がん(浸潤性膵管がん)に高度にシフトした吸収性を発揮するオリジナルペプチドを開発。このペプチドは生体への侵襲性が低く、これを応用したDDSの確立は、既存の実用抗がん剤と組み合わせて革新的なPDCの創成につながる。PDCは「患者のからだにやさしく、かつ十分な制がん効果」を得るポテンシャルを持つため、がん専門医が担う膵がんなどの難治がん治療を大きく進化させる機会を提供できるという。また将来的に日本発信の独創的テクノロジーとして世界のがん医療分野に向けた発信力を持つと期待されるものだとしている。
今後は、同大学とエーザイが協働し、膵がん患者のための革新的な治療薬として、次世代抗膵がん薬(抗膵がんPDC)の創成と、日本発信の膵がん先進医療の確立、そしてがん患者に届けることを目標として、21世紀の新しい革新的ながん征圧医療技術の展開を目指していくとしている。
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・新潟大学 研究成果