■睡眠薬と抗不安薬が上位
在宅療養や回復期リハビリテーション病棟など、療養環境別の高齢者の多剤服用に関する実態調査の結果が、24日の高齢者医薬品適正使用検討会で公表された。在宅療養患者で6種類以上処方されている患者は6割を占め、「特に慎重な投与を要する薬剤(PIMs)」の処方があった患者では、睡眠薬・抗不安薬、利尿薬などが療養環境を問わずに上位を占めた。また、回復期リハ病棟等の入院患者の平均薬剤種類数は、入院時の約7種類から退院時まで変化があまり見られないことが明らかになった。調査結果は、来月上旬に公表予定の「高齢者の医薬品適正使用の指針・各論編(療養環境別)」に盛り込まれる。
実態調査の結果は、浜田将太医療経済研究機構主席研究員が報告したもの。それによると、在宅療養患者1211人のうち、80代後半が35%を占め、性別では女性が75%だった。平均薬剤種類数は6.5で、6種類以上処方されている患者は725人(60%)だった。PIMsの処方が行われている患者数は701人(58%)で、睡眠薬・抗不安薬313人(26%)、利尿薬276人(23%)、H2受容体拮抗薬127人(10%)の順となった。
特別養護老人ホームの入所者925人では、平均薬剤種類数は4.9で、6種類以上処方されている人は378人(41%)だった。PIMsの処方があった人は448人(48%)で、利尿薬189人(20%)、睡眠薬・抗不安薬173人(19%)、H2受容体拮抗薬69人(7%)の順となった。
一方、回復期リハ病棟に入院した患者を見ると、入院時の平均薬剤種類数は6.9、6種類以上処方されている人は全体の62%だった。退院時の平均薬剤種類数は6.6で、6種類以上服用されている人は61%となり、平均薬剤種類数については「入院以降あまり変化はない」と結論づけた。
PIMsの処方があった人は入院時で54%、退院時は57%で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、睡眠薬・抗不安薬、利尿薬の順に多かった。
地域包括ケア病棟の入院患者では、入院時の平均薬剤種類は6.8で、6種類以上は全体の61%だった。退院時の平均薬剤種類は7で、6種類以上は62%で、同様に入院以降の平均薬剤種類数の変化は小さかった。PIMsの処方ありは、入院時は64%で、退院時も64%だった。内訳を見ると、利尿薬、睡眠薬・抗不安薬、NSAIDsの順となった。