遺伝子パネル検査は、癌患者の治療に役立つ情報を得るため、一度に複数の遺伝子変異を調べることができる。癌関連遺伝子領域を濃縮し、DNAシークエンサーで塩基配列を決定。塩基配列をデータベース情報と照合し、遺伝子異常を検出する。専門家で構成されるエキスパートパネルが結果をレポートとして作成し、患者の治療方針決定に活用する。
国内ではシスメックスの「NCCオンコパネル」と、中外製薬の「ファウンデーションワンCDx」の2品目が昨年12月に製造販売承認されている。ただ、先進的な検査であり、複雑なプロセスを有することから、保険適用に当たっての要件設定については中医協に諮ることとしていた。
この日の総会では、厚労省が具体的な要件案を提示。新たな治療法の確立に役立てることを目的に、医療機関が国立がん研究センター内に設置されたC-CATに直接または検査機関を通じて検査データを提出することとした。データ提出と二次利用には患者の同意が必要としたほか、個人情報保護の関連法令を遵守すると共に、患者の求めに応じて検査結果を返却できる体制整備を求めた。
一部のパネル検査機器では、医薬品の効果や副作用を治療前に検査して薬剤の投与量などを予測するコンパニオン検査としても薬事承認されているが、コンパニオン検査を目的に検査が行われた場合は、パネル検査として算定できないこととした。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、C-CATが公正中立な立場にあり、個人情報を安全に管理して適切に利活用できるよう法律で担保することを要求。「相当な費用がかかる検査であり、本当に検査が必要な患者に限定することを保険適用の条件とすべき」と注文を付けた。
吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「検査を行う医療機関と検査機関の双方から、パネル検査の結果だけでなく、ゲノムの元データを含めて提出を義務づけるべき」とした。