原薬の製造段階で混入と判明、全76ロットで微量のアセタゾラミドを検出
沢井製薬株式会社は4月19日、エカベトNa顆粒66.7%「サワイ」について、アセタゾラミドが微量に混入していた件において、原因究明を行ってきたが、今回はその調査結果をもとに、厚生労働省に報告書を提出したことを発表した。同剤は2019年3月4日、現在も緑内障など多様な疾患に使用されるアセタゾラミド(1958年8月に販売開始)が微量に混入しているとの厚生労働省からの情報提供に基づき、使用中止と回収を行っていた。
同社は直ちに、同社および同剤の原薬購入先である株式会社陽進堂で原因究明を進めた結果、原因が判明。報告によると、混入していたアセタゾラミドは同社で取り扱いがないため、原薬の製造段階で混入したのではないかと推察し、同社工場に入荷済みの計145ロットの対象原薬のうち76ロットを分析したところ、76ロット全てにおいてごく微量のアセタゾラミドが混入していることを確認した。したがって、対象原薬は全ロットにアセタゾラミドが微量混入していると推測される。
これは、陽進堂から購入した原薬の製造元の製造ラインで生産設備を共有しているエカベトナトリウムにアセタゾラミドが残留し、最終製剤までキャリーオーバーしたことが原因と考えられる。
ドーピング禁止薬物であるため、スポーツ競技者は服用を控えるよう注意喚起
混入レベルについては、国際的な医薬品査察協定及び医薬品審査共同スキームである「PIC/SGMPガイドライン」の当事案における最も厳しい基準の10ppm基準から逸脱するものではなかった。しかし、キャリーオーバーの原因となった工程をより厳格に、残留量を可能な限り低減すべく、同社品質管理体制の一層の強化に加え、陽進堂と協力して検討を行っていく予定だという。
今回の調査で検出されたアセタゾラミドの量については極めて微量であり、無毒性許容量の1,000分の1程度だった。よって、同剤を長期継続服用した場合でも、安全性は問題ないものと判断される。なお、これまでに、この件に関連した健康被害の報告は上がってきていない。
ただし、アセタゾラミドは、2018年禁止表国際基準における「利尿薬および隠蔽薬」としてドーピング禁止薬物とされており、日本アンチ・ドーピング機構から注意喚起が発出されていることから、スポーツ競技者は引き続き服用を控えるよう、呼びかけている。また、同じ製造設備を共有している他の原薬2成分は国内で再結晶精製しており、アセタゾラミドの混入がないことを確認しているという。
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・沢井製薬株式会社 プレスリリース