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着るだけで12誘導心電図を計測できるスマートウェアを開発-NEDO

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2019年04月22日 PM12:00

皮膚とドライ電極間の接触の不安定性が課題

)は4月18日、NEDOプロジェクトにおいて、)、名古屋大学が、医療機器を目指した心電図を計測できるスマートウェアを開発したと発表した。研究成果の詳細は、英国科学雑誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

近年、ドライ電極を形成した衣類を着るだけで心電計測を行うウェアが開発されており、日常生活での生体信号計測への応用が期待されている。しかし、現在製品化されている既存の心電計測ウェアでは、電極数が少なく限られた方向からの計測しかできないため、その用途は心拍数の計測と不整脈、心室細動の検知に限られていた。また、得られる信号波形に関しては、皮膚とドライ電極間の接触の不安定性のために、呼吸や会話などの体動によって心電波形にモーションアーティファクト(体動による皮膚と電極の接触抵抗変化、配線の揺れ、筋電図の混入などで心電図にのるノイズの総称)が生じるため、医療的意義のある波形形状を有した心電図計測には適さず、医療機器として用いる際の課題となっていた。

そんな中、NEDOプロジェクトでは、2016年度からフレキシブル複合機能デバイス技術の開発で心電計測ウェアの開発に取り組んできた。

筋電図、脳波、体内インピーダンス計測にも応用可能

NEDOプロジェクトは今回、繊維を帯電させ電気力線に沿って加工対象に吹き付けることで、接着剤の塗布された加工対象表面に短繊維を起毛した状態で植え付ける静電植毛技術により、加工表面の手触りが柔らかな風合いのベルベット状で皮膚との接触が良好な起毛ドライ電極を開発。同電極は柔らかな風合いを持ち、皮膚と電極間の良好な接触が実現できるという。あわせて、皮膚とドライ電極間の接触状態を模擬できる、独自のモーションアーティファクト評価装置も開発した。

さらに、同電極と同評価装置を用いて電極構造・配置の設計を最適化することにより、従来の心電計測ウェアの皮膚とドライ電極間の接触不安定性の課題を解決し、モーションアーティファクトの影響が軽微な、波形の安定した心電図を計測できるスマートウェアの開発に成功した。同スマートウェアは、皮膚と起毛ドライ電極間の局所的着圧が適切に設計されているため、着るだけでモーションアーティファクトの小さな心電図計測が実現できる。実際に、名古屋大学医学部において実証試験を行った結果、最適化後の起毛ドライ電極ウェアを用いることで、胸部誘導の心電図において、安定した波形の計測を実現することができたという。さらに、増幅回路の追加により、一般的な心電図検査で用いられる12誘導心電図にも容易に拡張可能としている。

同スマートウェアの完成により、病院や在宅医療での長時間にわたる心電図の計測がウェアを着るだけでできるため、患者や看護師の負担などが軽減できる。さらに、長時間の計測により、病院の検査だけでは見つけにくい、たまにしか生じない病気の症状の発見にも寄与すると考えられる。

研究グループは、「今回開発した起毛ドライ電極とモーションアーティファクト評価装置は、心電図に限らず、筋電図、脳波、体内インピーダンス計測などにも応用可能であり、バイタルサイン計測を行うスマートウェアへの幅広い展開も期待できる。今後、産総研と名古屋大学は、臨床試験を実施して医療機器としての認可取得を目指す」と、述べている。

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