心血管イベント発症リスクが高い2型糖尿病患者7,000人以上が、42か国から参加
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は4月15日、「ジャディアンス(R)」(一般名:エンパグリフロジン)によるEMPA-REG OUTCOME(R)試験のベースライン時の顕性アルブミン尿を伴う糖尿病性腎臓病(DKD)患者における複合腎・心血管アウトカムの結果が、国際腎臓学会(ISN)World Congress of Nephrology(WCN)2019にて公表されたと発表した。
EMPA-REG OUTCOME試験は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同試験で、42か国から心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病の患者7,000人以上が参加。心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者において、標準治療にジャディアンスを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが14%有意に減少。また、心血管死については、リスクが38%減少した。
ジャディアンスは、事前に規定された心血管アウトカムに特化した単一試験において、糖尿病治療薬として初めて複合心血管イベントならびに心血管死を有意に減少させた、唯一の選択的SGLT2阻害薬。さらに、同試験の副次評価項目では、腎症の初回発現もしくは悪化を評価した複合腎イベントの相対リスクが、プラセボ群と比較してジャディアンス投与群で39%低下することも示された。
全体集団で、複合腎・心血管イベントリスクが43%低下
今回さらなる解析として、腎イベントのリスクが高い、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴うDKD患者(30≤eGFR<90ml/min/1.73m2かつUACR>300mg/g)と、その他の患者における複合腎・心血管アウトカム(末期腎不全[腎代替療法の開始またはeGFR<15ml/min/1.73m2の持続]、血清クレアチニン値の倍加、腎疾患による死亡または心血管死のいずれかとして定義)の解析が行われた。また、その他の評価項目として、複合心血管アウトカム(心不全による入院または心血管死)、心血管死、複合腎アウトカム(末期腎不全、血清クレアチニン値の倍加、腎疾患による死亡)および全死亡について解析が行われた。
その結果、全体集団において、ジャディアンス群はプラセボ群と比較し、複合腎・心血管イベントリスクが43%低下した(ハザード比0.57、95%信頼区間0.46-0.70)。腎イベントリスクが高い集団である、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴うDKD患者において、ジャディアンス群はプラセボ群と比較し、複合腎・心血管イベントリスクが54%低下した(ハザード比0.46、95%信頼区間0.31-0.68)。さらに、その他の患者においても、ジャディアンス群はプラセボ群と比較し、複合腎・心血管イベントリスクが41%低下した(ハザード比0.59、95%信頼区間0.46-0.75)。
これらの結果から、ジャディアンスによる複合腎・心血管イベントへの効果は、全体集団、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴うDKD患者、およびその他の糖尿病患者において一貫していることが示された。また、同試験の全体集団、顕性アルブミン尿を伴うDKD患者、およびその他の患者における一貫した治療効果は、複合心血管イベント、心血管死、複合腎イベント、全死亡においても示された。
なお、日本におけるジャディアンス(R)錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび腎イベントのリスク減少に関する効能・効果は取得していない。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース