抵抗力が落ちている高齢者に多く、死に至ることもあるCDI
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社(日本BD)は4月15日、「BD マックス(TM) CDIFF」によるクロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出が、4月1日より保険適用となったことを発表した。
画像はリリースより
ヒトの腸内には数百種類、1,000兆個もの細菌がいるが、抗菌薬の服用でこれらの腸内細菌のバランスが崩れると、特定の菌が異常に増加する菌交代症が起こることがある。クロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)は菌交代症の代表的なもので、抗菌薬関連下痢症の原因の20~30%を占めている。
CDIは、年間1万患者あたり7.4人の罹患者がいるとされ、主な症状は下痢や粘性の便、吐き気、発熱などで、重症化すると死に至ることもある。また、高齢者に多く、手術後や免疫抑制剤を使用している期間など、抵抗力が落ちているときに発症しやすいと言われている。
毒素産生性培養検査と同等の感度・特異度をもち、約3時間で測定可
BD マックス CDIFFは、クロストリジオイデス・ディフィシル菌(CD)が産生する毒素のうち、CDIの鑑別診断に重要なトキシンB遺伝子を検出する試薬で、リアルタイムPCR法により遺伝子(DNA)の抽出から増幅、検出までを全自動で迅速に行う「BD マックス」専用のキット。
CDはヒトに感染して下痢症や腸炎を引き起こすほか、芽胞を形成してアルコールや乾燥、熱に抵抗性を獲得すると、一般環境中に長く生存できるようになる。そのため、院内感染の原因ともなることから、精度が高く迅速な検査法が求められてきた。BD マックス CDIFFは、CDのトキシンB遺伝子検出の検査として、国内で初めて保険適用されたものである。
CDI診断には、患者の便を検体として、イムノクロマト法などの迅速診断キットでCD抗原検査(GDH検査)とCDトキシン検査が行われる。これら両方の検査が陽性である場合にはCDIと診断されるが、CD抗原検査が陽性でCDトキシン検査が陰性の場合は、さらに感度の高いトキシン遺伝子検査(NAAT検査)が推奨されている。今回、保険収載されたBD マックス CDIFF遺伝子検出キットは、毒素産生CD検出の基準的方法である毒素産生性培養検査(Toxigenic Culture)と同等の感度、特異度があり、より短い時間(約3時間)で測定できるとしている。
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